The Story of "Matthew Bourne's Nutcracker!"vol.4
By Natsumu


ACT TWO

… Sweetieland …

ー甘い国ー

【Cast】

King Sherbert……Scott Ambler or James Leece

Queen Candy…… Emily Piercy or Isabel Mortimer

Humbug Bouncer……The Company

The Liquorice Allsorts……Vicky Evans,Richard Winsor,Paulo Kadow,
Mami Tomotani,Aaron Sillis,Simon Wakefield

knickerbocker Glory……Arthur Pita or Paulo Kadow

The Marshmallow Girls……Kerry Biggin,Belinda Lee Chapman,Vicky Evans,
Sophia Hurdley,Rachel Lancaster,Michela Mezza,
Gemma Payne,Emily Piercy,Mami Tomotani,
Shelby Williams

The Gobstoppers……Adam Galbraith,James Leece,Lee Smikle,
Philip Willingham,Ross Carpenter,Simon Wakefield

【Scene】

 舞台中央に大きく開けられた口が登場。その上唇の下には白い歯が並び、
下唇の1/3ぐらいは地に埋もれている。口の周囲には青空と白い雲が広がり、
口の奥には鏡が据え付けられている。そして、その唇はピンク色に輝いている。
そう、まるで砂糖をまぶしたかのように。

*****

   プリンセス・シュガー、くるみ割りの二人がスイーティーランドの入り口である大きな口の前に到着。
 シュガーが唇の門の左側を指でなぞった後、その手をなめて「ほら、甘いわよ」とくるみ割りに話しかける。くるみ割りは大胆にも、唇の右側をそのままなめようと顔をそばに寄せると、何とその口の内側から同じように唇をなめようとしたプリンス・ボンボンが登場。くるみとニアミス(キス)しそうになる。その表情からボンボンは確信犯だと分かる。

 そんなプリンスには全く気付かず、またシュガーとくるみはいちゃいちゃし始めた。そこに王と王妃が登場。人目を気にせずべったりな二人を、王と王妃は嗜める事無く、微笑ましげに近付いて行った。
 王も王妃も関心事はくるみ割りのお味。指でクリームをすくうかのように、くるみ割りの体を指でなぞり、お口の中に指を入れ、おいしそうに舌鼓を打った。「うーん、合格」というように頷く王様。

 そんな中、プリンス・ボンボンはくるみの気をひこうと白と赤の渦巻きペロペロキャンディーをくるみの目の前に出してみた。全く相手にされないプリンス・ボンボン。彼はそれならこれでどうだ!と言わんばかりに、更に大きなペロペロキャンディーをくるみ割りの目の前に突き出す。しかし、彼は無視されてしまう。
 すっかりくるみ割りの味が気に入った王と王妃は、プリンセス・シュガーとくるみ割りのカップルを祝福。二人をスウィーティーランドへと誘った。

 誰も居なくなったスィーティーランドの入り口。そこに今度はクララとエンジェル二人が現れる。クララに「ここから入るんだよ」とエンジェル達は告げ、立ち去ってしまう。
 一人残されたクララは思いきって口の門の中に足を踏み入れた。すると、彼女の行く手を阻む者が登場。白と黒のしま模様のあめ玉のような帽子(セロハンで包まれている)に白黒のストライプの洋服に黒の蝶ネクタイ、黒いサングラスをかけたHumbug Bouncer(用心棒)だ。彼は体を張ってこの門を守っている。

 入ろうとするクララ、それを体を張ってはね飛ばして阻止するHumbug Bouncer。ピンク色の紙を持ってるのか?と聞く彼に、クララは持ってないと首を振る。
 すると、そこに女性一人、男性二人の三人組、The Liquorice Allsortsが登場。

 彼等はどこから見てもスパニッシュ!女性は黒髪をぴたりと結い上げ、頭の上にピンクのドーナツ形の飾りをつけている。黒い長そでのワンピース、スカートは膝丈で大きなひだがあり、ピンクや緑、黄色のドーナツ形の砂糖菓子の模様と白と黒が重ねられた四角いお菓子の柄が入っている。
 男性は黒髪を七三に分け、頭にぴたりと撫で付けている。ボレロに黄色、青のフリル付きの派手なシャツ、そしてピンク色のぴたりとしたパンツを履き、腰には白と黒のボーダーの派手なベルトをしている。袖口から出たシャツのフリルもきいている。何とも個性的、かつ、ちょと気持ち悪い雰囲気の男性ダンサー達を引きつれ、女性は見事なスパニッシュダンスを披露した。それに対抗するかのように踊り出すクララ。しかし、彼女のステップには圧倒される。

 と、その時、彼等はピンク色の紙を取り出しHumbug Bouncerに見せた。どうやら彼等は招待されたお客人らしい。満足げに頷き、どうぞお入り下さいというHumbug Bouncer。彼等に便乗して入ってしまえと流れにのろうとするクララ。しかし、Humbug Bouncerはそう甘くはない。あっという間にまたクララは彼の体にはね飛ばされ、床にしりもちをついてしまった。

 と、今度は怪しげな音楽がどこからともなく鳴りはじめ、絞り出された白いクリームのてっぺんに赤いチェリーをつけたような髪、ショッキングピンクのジャケットに白い襟、黒いタイトなパンツを履いたKnickerbocker Gloryが現れた。
 怪しげな口ひげ、手にはタバコを持ち、煙をくゆらせている。アラビアンな雰囲気の彼は何とも不思議な動きをする。どこかねばった動き、一癖も二癖もありそうな目つき。そう、不思議の国のアリスが出会った水タバコを吸っている芋虫のようだ。

 「お嬢さん、この招待状が欲しいのかね」とでも言うようにクララに近寄るKnickerbocker Glory。タバコの煙さえもが怪しげに辺りに漂う。
 戸惑いながらも彼の踊りに引き込まれて行くクララ。「さあ、お嬢ちゃん。私と一緒に行ってみるかね?」と言わんばかりに彼女の手を取るKnickerbocker Glory。にっと笑った口もとがまた何とも無気味だ。
 入りたいのはやまやま。でもこの人とは嫌と思ったクララは、最後まで彼の誘いを断り、また一人門の外に残ってしまう。

 果たして彼女はこの門を突破出来るのか?


NOTICE!

この物語はこのHPの制作者なつむが2002年11月21日、22日に観た
"Matthew Bourne's Nutcracker!"を、あくまでも記憶を基に綴ったものです。
作品は日々変化していると思います。


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