The Story of "Matthew Bourne's Nutcracker!"vol.6
By Natsumu


ACT TWO

… Sweetieland …

ー甘い国ー

【Cast】

King Sherbert……Scott Ambler or James Leece

Queen Candy…… Emily Piercy or Isabel Mortimer

Humbug Bouncer……The Company

The Liquorice Allsorts……Vicky Evans,Richard Winsor,Paulo Kadow,
Mami Tomotani,Aaron Sillis,Simon Wakefield

knickerbocker Glory……Arthur Pita or Paulo Kadow

The Marshmallow Girls……Kerry Biggin,Belinda Lee Chapman,Vicky Evans,
Sophia Hurdley,Rachel Lancaster,Michela Mezza,
Gemma Payne,Emily Piercy,Mami Tomotani,
Shelby Williams

The Gobstoppers……Adam Galbraith,James Leece,Lee Smikle,
Philip Willingham,Ross Carpenter,Simon Wakefield

【Scene】

 プリンセス・シュガーとくるみ割り人形のウェディング・パーティー

*****

   花のワルツの華やかな音にのって、3段の巨大ウェディングケーキが舞台中央に登場。最上段には新郎新婦の人形、そして何本ものキャンドルが飾られている。更に、上段にはプリンスボンボンが、中段にはThe Liquorice Allsorts、knickerbocker Glory、The Gobstoppersが、そして下段にはThe Marshmallow Girlsが、ケーキのトッピングとして鎮座ましましていた。
 王と王妃も加わり、今日のこのめでたい日を祝し、全員のダンスが始まる。しかし、お祝いのダンスというには、少々腰つきの怪しいダンスなのだが…

 披露宴に招かれた親類縁者のダンスの後、本日の主役、くるみとシュガーのデュエットが始まる。空からはバラで作られた大きなハートが降って来た。
そこに先ほどボンボンに捕獲されたキューピットが登場して二人に金色の愛の矢を放つ。しかし、物凄く!不本意らしく、金粉を二人に投げ付けた。ラブラブな二人は更にラブラブに。更に彼等をとりまくMarshmallow Girlsと、白いパンツにサスペンダーを身につけた男性陣も戯れているうちに、キューピットの矢を受けカップルがあちこちで誕生。ハートのバラの前で今、何組ものカップルが誕生していた。

   そんな様子を寂しげに見つめる人が居た。クララである。彼女は一人、巨大ウェディングケーキの中段から、キャンドルにつかまるように立って彼等の様子を眺めていた。
 シュガーとくるみの二人の世界を目の当たりにし、今彼女は悲しみに打ちひしがれながらケーキの上でただただ立ち尽くしていた。そんな彼女の悲しみを感じて、キューピットは悲しみの波に襲われ体を震わせ縮こまっている。
 それでも彼女はケーキから降り立ち二人の前に。そこにプリンス・ボンボンが登場。4人のカルテットが始まった。

 Sweetieland に来てから記憶が無くなってしまったのか、シュガーしか見えていないくるみ割り。しかし、ダンスが進むうちにクララの事が彼は気になりだした。しかし、あっという間にシュガーがまた彼の気を自分に戻させてしまう。私を見て、思い出して!という思いで踊るクララ。しかし彼の心はキューピットの矢が効き過ぎているのか、すっかりシュガーのものだった。

 ダンスが終わると同時に王と王妃が登場。プリンセス・シュガーとくるみ割りの手を取り、結婚成立。クララはそれをただ見つめるしかすべがなかった。

 婚儀の終了とともに出席者達は速やかに帰途につく。最後になったシュガーはくるみ割りの手を取り、舞台右にあるドアを開け、中に入って行った。
 今、クララは一人。ただ一人宴の後の泣き出したくなるような静寂に包まれ、悲しみと寂しさに必死に耐えようとしていた。

   クララはまた一人になってしまった。しかし、気付くとSweetieland はいつの間にか消えて無くなり、彼女は見なれた孤児院の一室に一人佇んでいた。

 時計の針は夜中の12時をさしている。クローゼットから人間の大きさになったくるみ割りが出て来たのは夜中の12時。という事は、あれから一分も経っていない?今までのあれは何だったの?とでもいうように呆然と立ち尽くすクララ。
 しかし今、この暗く寂しい孤児院の部屋にクローゼットは無く、あるのは時計とベッドが一つ。とにかく眠らなきゃと思ったのか、クララはベッドに近付いた。

 シーツをゆっくりとめくるクララ。すると、どうした事だろう。グレーのパンツとサスペンダーだけを身に付けたくるみ割りが中から出て来たではないか!
 今まで曇っていたクララの表情が一気に明るくなる。そして、彼等はベッドを窓際に押し布をつないで作ったロープを取り出した。
 さあ、こんな所からは出て行くんだ!僕達はいつまでも一緒だ!とでも言うように、くるみ割りがクララの手を力強く握った。窓を開け、二人は布で出来たロープを外に出す。小さなトランクを一つ携え、クララとくるみ割りの二人は今、自分達の未来に向かって孤児院を後に歩み始めた。


NOTICE!

この物語はこのHPの制作者なつむが2002年11月21日、22日に観た
"Matthew Bourne's Nutcracker!"を、あくまでも記憶を基に綴ったものです。
作品は日々変化していると思います。


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