忌わしい出来事は、昨年6月にさかのぼります。私が勤務するA社は、B社・C社とM市内の道路工事を実施することになり着工していたのです。この時私は、現場責任者の立場にありました。
予期せぬ出来事が私の身に降りかかったのは、この現場でのことです。通常どおり工事を進めていたところ、突然、30歳位の暴力団員風の男1名が私に歩み寄ってきて、「あんたが社長か。社長でなければ社長に会いたい。」と切り出してきたのです。この時私は、一種の不安を感じ取りましたが、とりあえず用件を尋ねたところ、「工事に対する因縁付」であった訳です。
こんなことから私は、不安な気持ちを押さえつつ冷静に対応しようと心がけ、相手の身分と本音を確認したところ、その相手は、
「俺は住吉会のI組事務所の者だ。本来ならば工事を始める前に挨拶にくるものだ。挨拶もなく渋滞は起こすしほこりも出すので車の洗車代も馬鹿にならない。本来なら毎月協力費をもらうんだが今回は一回だけでいい。3社いるんだから1社あたり10万円でいい。これ位が相場だ。」と申し立ててきました。つまり、協力費名目の金銭の要求だったのです。
この時私は、相手が暴力団であることから不安と恐怖を抱きましたが、「今だからこそ冷静に対処しよう」と心に誓い、相手に対して、「私は現場責任者でありますがA社の一社員で、要求に対しての回答はできません。社長と交渉しても金は出さないと思います。」と返答したところ、相手は、「分かった。それでは直接本社に行く。」と捨て台詞を残して現場を後にしたのです。 |