アニーママ奮闘記

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最終章 アニーの最期 − [最期の日]

2007年1月9日火曜日。
朝起きると、普通に一人で立ち上がり庭に出てオシッコをする。
すぐに戻って来て、私が台所に行くと、嬉しそうに後から付いて来るアニー。
何年も毎日してきた事で、いつもと変わらない・・。

何を最初にあげようとしたかな・・。
台所で何かをあげようとしたけれど、食べようとしたけれど、横を向いた・・。
いつものアニーの場所(リビングソファーの前)に戻って伏せた。
パンとか、リンゴとか、クッキーとか、いろいろ口元に持っていくが、
クンクンと匂いを嗅ぐけど、横を向く・・。何も食べようとしない・・。

歯茎を見ると、ピンク色だった。
『ブドウ糖って効くなぁ。元気やし、まだ大丈夫やで。仕事に行って。』
と、仕事を休めない主人を送り出す。

それから、サツモイモを蒸かす。
サツマイモは一口食べた。これが最後の食べ物になった・・。
二口目は横を向いた・・。
ブドウ糖もサプリメントも薬も嫌がった・・。無理にはあげなかった・・。

おしっこに庭に出て戻って来るだけで、喉がヒーヒー鳴り、昨日以上に呼吸がし難くそうだ。
1時間程で治まるが、また歯茎が白っぽくなっている・・。
10時ぐらいだろうか・・。病院に往診に来て欲しいと電話をする。
いつもは混んでいてご指名が多い主治医なのに、珍しく空いているからと
すぐに往診に来て下さった。
血液を採り、病院へ戻られる。私はすぐ近くのスーパーにアニーの食べる物
(牛肉やアイス・・)を買いに出る。

私が戻るとアニーは喜んで興奮して、また呼吸が荒くなる。
その呼吸が治まらないウチに病院から私だけ来るように電話が入り、病院へ。

『貧血の数値が、5日間の間に急降下しています。
数ヶ月かけて、この数値まで下がるなら、そんなに心配のない数値だけれど
たった5日間でここまで下がるのは・・。本来ならすぐに輸血をするんですが・・。』

輸血もしないと決めていた。
ほんの数日、延命する為の輸血は必要ない・・。
少し動くだけでも呼吸が荒くなるアニーなのに、
病院へ行くだけでも呼吸が持たない。少しのストレスもかけたくない。
今を少しでも楽に過ごさせたい・・。

『急に悪くなる事もあるかもしれないので、2・3日は注意して下さい。』と言われた。

家に戻ったのは、13時ぐらい・・。
またアニーがヒーヒーと呼吸がし難くなるが、その内に落ち着いて眠る。
寝ている顔は、いつもと変わらない。寝息も普通。

いつからだろうか・・。
アニーは起きている時はずーと私を見ている。もう何年も前からずーと・・。
私の行く所行く所、ずーと私を追いかけ、姿勢を変え、ずーと見ている。
「もう少しで見る事ができなくなると分かっているから、見れる時はずーと見ておこう」と、
身体の変化も感じて、そう思ってるのかなぁ?と思った・・。

アニーが目を覚ましたのは何時だっただろう・・。
それからは、立とうとする度に、どんどん後ろ脚に力が入らなくなっていった。

立ち上がろうとして、後ろ脚が滑った。
ずーと着ていた介護服を上から引っ張り、立ち上がらせると、しっかり歩く。
庭に出て、オシッコをした。

次に立ち上がろうとした時は、立ち上がった後も、後ろ脚がふらついた。
私が介護服を持ちながら一緒に歩く。
お水を飲みに行く。普通に飲める。

次には、後ろ脚が更にふらついた。
介護服を持ちながら一緒に歩いて庭に出て、綺麗なウンチをした。

でもちょっと歩くだけで、ますます呼吸困難ぽくなる。ヒーヒーと喉が鳴る。
数ヶ月前から用意していた人の医療用携帯酸素を使ってみた。 
これは水分不足になるから扱いには注意するようにと教えてもらっていたので、
大型犬用の酸素マスクを10cm程離して酸素を送った。
最初は顔を背けたアニーだったけれど、自分から口を持って行ったので
少しは楽だった・・と思う。

主人に、『今日やと思う』と携帯メールをいれた・・。

アニーの顔を私の膝に置き、右手に酸素マスク、左手でアニーを撫で、
『アニー、ありがとう。アニーが居てくれて、ほんま、楽しかった。・・・・・・・・・』

泣きながら、声に出して、ずーとアニーに想いを伝えた・・。
買って来たお肉も食べさせてあげたいけれど、アニーから離れる事ができなかった・・。
ずーとアニーを抱いていたかった・・。

アニーはまた立ち上がろうとした。
後ろ脚が更にフラフラで、一瞬、股関節が外れた?と思うほど。
それでも前脚はしっかりしていて、歩こうとする。
水を飲みに歩いて行った。やはり喉が渇くんだろう。自分で飲む。

次に立ち上がろうとした時・・急に重くなっていた・・。凄く重い・・。
前脚はしっかりしていたけれど、
介護服を上から引っ張りあげ、上からアニーの後ろ脚を見ている状態の私は
アニーの右脚と左脚が交差して・・完全にブランブランになっていた・・。

『アカン。アニー、ごめん。アニーを持ちあげられへん。
 アニーを立たせてあげられへん。ごめんな。アニー。ごめん・・。』

アニーを無理なく自然に寝かせる事に少し時間がかかった・・。
後ろ脚が・・右脚と左脚が・・どうなってるのか・・。
なんとか寝かせて、お水が入ってる食器をアニーの口元に持って行くと・・少し飲んだ。

喉がヒーヒーと鳴り続ける。
アニーを膝枕して、時折、酸素を吸入しながら、両手でアニーを撫で
泣きながら声を出して、アニーに喋り続けた・・。

20時頃、主人が帰って来る。
『アニー、パパが帰って来たで。』
アニーは主人を見て、目を輝かせて笑ったと思う・・。

主人にアニーを見てもらって、主人の着替えを取りに2階に行くと、すぐに下から
『アニー!アニー!』と主人の大声がする。

「え〜、今まで私、ずーと側にいたのに・・」と、慌てて1階に降りて行き
『息してないの?』とアニーを触ると・・まだ生きている・・「良かった・・」
でももう喉はヒーヒーと鳴っていない・・。

『アニー。ありがとう・・。ありがとう・・。アニー。・・・・・・・・。』
アニーをずーと撫でながら、泣きながら、言い続けていた・・。

数分後に主人が言った 『今、止まったな・・。』
最後のオシッコが流れてきた・・。

2007年1月9日20時8分。12歳8ヶ月3日で犬生を終え、千の風になる・・。

                                    −−−おわり−−−
 アニー&モリー&シンノスケと私♪
 
(2007年12月26日 up)

アニーの最期の写真

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