ラスベガス夜の部(その2)高い所編


 フリーモントの大感激の余韻に浸りつつ、みやーんとやっすんはJTBトロリーバスに乗り、夜景のダブルヘッダー第二戦、その名も「ストラトスフィア・タワー」に向かっていた。何しろみやーん、何度も言うが知る人ぞ知る高い所好き。しかも、この宝石箱をひっくり返したような夜景のおまけ付きなのだ。これを見ずして、ラスベガスを見たなんて言えないではないですか。ね、そうでしょ?

バスがタワーの下の停留所に着いた途端、みやーんとやっすんは入口めがけてブヒーと猛進した。実はここ、れっきとしたホテルでもありまして、当然カジノもありまして、で、タワーに登るにはチケットを買う必要がある訳で、とすればチケット売り場はどこかいな?と探す間もなく、見つけましたよチケット売り場。だって20人ぐらい並んでるもん。

「いや、待てよ。今、もう23時やで!この時間に、こんなに人が遊びに出歩いてるなんて、平和ボケの日本じゃないんやから。」と突然冷静になるみやーん。だって、いくら夜景の奇麗さにボーッとなってたとはいえ、ここアメリカですよ !? どの旅行会社も、「日没後は外出を控えるように」なんて言う国ですよ !? でも、さっきからラスベガスという街は、(もちろん全然とは言えないけど)夜の外出に不安を感じないのだ!どのカジノにも制服の警官が何人もいるし、出歩いてる人も高齢のアメリカ人観光客が多いせいかのんびりムードだし。実際、引ったくりとか置き引きなんかの”軽犯罪”は多いけど、強盗や殺人なんかはかなり少ないそうである。「そうかぁ。カジノで観光客呼ぶには、危険なイメージ持たせるわけにいかないもんなあ。楽しくて、奇麗で、安全なんだ。ということは、ラスベガスって、ほんっと魅力的な街やなあ」てな具合で、もうみやーん感心しきりである。

そうこうしているうちにチケットを買った二人を乗せた展望台用エレベーターはスルスルと上昇してゆき、ついに最上階に到着した。そしてブヒーと飛び出した二人の目の前に、この景観が現れた!

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やっすん、この夜景に大感激!「うっわー、これ、スゴいわ・・・メッチャ感動・・・」「ほんまやなあ・・・」みやーんも絶句。二人はボーゼンとなって、ただただこの夜景を眺めていた。

二人ともしばらく声が出ないままだったが、やっすんがポツリとつぶやいた「俺、来て良かったー・・・」。ものすごく感動しているのがヒシヒシと伝わってきた。でも、みやーんもまた感動に浸っていたのだ。「俺も、来て良かった・・・」。びゅうびゅう吹きつける夜風のなか、二人はゆっくり展望台を歩きながら、360°の夜景を楽しんだ。

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そこに突然、「ヒエー!」という数人の叫び声が!でもみやーん達は「な、なんやなんや、何事や !?」なんて驚くことはなかった。なぜなら、このストラトスフィア・タワーは、展望台のさらに上、地上300mのところに逆バンジーとミニコースターを備える、空中遊園地でもあったのだ!「ヒエー」という声は、逆バンジーで飛び出した客の声だったのだ。正直言って、ミニコースターはあんまり恐くなさそうだ。なにしろ細い塔の周囲をグルグル回るだけで、高低差は5m程度だからだ。でも、この逆バンジーは、はっきり言ってスゴイ!オープンエアーで地上300mから「ビシュウゥゥゥゥゥッ!」と飛び上がり、ビヨンビヨン上下する様子は、下から見てるだけでもゾッとする。「ひゃー、恐そー・・・」世界に誇る腰抜けコンビみやーん&やっすんは、すっかりおじけずいて、”絶対こんなのには乗るまい”と心に誓うのであった。

感動の荒波に揺さぶられながら、二人はホテルに帰ってきた。そのまま眠ってもよかったのだけど、この高ぶった気持ちを押さえられず、二人はフラミンゴヒルトンの北隣のカジノに入って、ファーストフードコートでお茶することにした。で、二人とも選んだのは”Jay's Pizza"というピザ屋だった。そして二人とも、スライスピザと包みピザをひとつずつオーダーしたのだが、これが結構イケルのである。所詮ファーストフードとはいえ、スライスピザも直径35〜40cmモノの1/8カットだし、包みピザに至っては、チーズやミンチがたっぷり入ってて、これひとつで満腹になるほどのボリュームなのだ。これにドリンクつけて6〜7ドルだから、安いでしょ?ここ、オススメです。Buffetに飽きたらぜひどうぞ。すっかりここが気に入って、「うめー、うめー」と食いあさる二人の頭からは、感動の嵐などすっかり消え去っていた。そしてそのかわりに、「寝る前にこんなに食ったらまた太るー!」という不安が広がっていった。