美の巡礼 第1回「奈良国立博物館」
仏教美術資料研究センター
八窓庵
鴎外の門
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 東大寺、興福寺、春日大社など奈良の奈良公園の中に堂々と建つ洋風の建築が奈良国立博物館です。明治22年、宮内省通達によって帝国博物館、帝国京都博物館とともに帝国奈良国立博物館の設置が決定されます。これは明治維新による社会変革の中で廃仏毀釈などが行われ、仏像をはじめとする伝統的な文化財が散逸、破損する恐れがあったからです。文化財の保存、調査、研究を目的として、東京、京都、奈良に帝国博物館が設置され、明治28年に開館しました。建物の設計は宮内省の建築技官だった片山東熊です。木骨煉瓦造で花崗岩や青石を用いたフレンチルネサンス様式の建物は、奈良の人々にとって初めて見る本格的な洋館で、開館と共に博物館は連日大勢の人々が訪れました。この明治時代中期の代表的な欧風建築は特に西玄関まわりの装飾デザインが優れているといわれ、国の重要文化財にも指定されています。
  この重厚な本館では飛鳥から奈良時代にかけて作られた仏像彫刻、平安から鎌倉時代にかけてのすぐれた仏像が時代的な表現様式の変遷が分かるように展示されています。ほかにガンダーラ、中国、韓国の仏像も並んでいます。奈良の美術品といえば、やはり仏教美術。信仰によって生み出された素晴らしい美術は、時代を超えて人々に感動を与えてきました。建築物も所蔵品も見ごたえのある博物館が奈良にあるというのは、地元の人々にとっても誇りです。東京、京都、奈良、そして新しく九州にも国立博物館ができますが、その中のひとつを身近に持つメリットを存分に生かして美術品と親しみたいものです。例えば、どれかひとつ、好きな仏像を見つけて、折々に会いに行くなんて如何でしょう。
  昭和47年に完成した西新館は周囲の景観を取り入れたガラス張りやコンクリート打ち放しの柱など陳列品を引き立たせる工夫が凝らされています。1階は図書コーナー、2階は絵画、書蹟、工芸などが展示されています。東新館では特別展や奈良の秋を彩る正倉院展が開かれます。平成9年に完成した地下回廊には仏像の名称とその違いをパネルで解説したり、仏像の製作過程が分かる模型を展示したりと仏像美術理解のための工夫が楽しいのです。そして、広々としたレストランもありますから、ほっと一息つくこともできます。隣り合わせたミュージアムショップにも注目。美術関係の書物や展覧会図録の充実はさすがです。風呂敷やお香、奈良の特産品である赤膚焼き、墨、筆なども並んでいてここも楽しいコーナーです。 名建築はほかにも、仏教美術資料研究センターや八窓庵、鴎外の門等、さまざまな美が凝縮している場所です。ゆっくり時間をかけて何度か訪れてみて下さい。きっと大切なものが何かが見つけられる、そんんな気がします。
 
Nara National Museum
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