大峯奥駈道を行く トップへ 修験道とは 修行中守るべきこと 名称について 大峯山の四門 十界の修行 六波羅蜜の実践 行程表


十界の修行を行うことによって人間的に一段と成長し、上求菩提下化衆生の思いに徹し、六波羅蜜の実践に適した人格を作り上げる。

1、地獄界……あらゆる苦しみに耐える行
地獄は耐え難い苦しみの世界であるる入峰修行の折、炎熱に汗を流して苦しみ、風雨、寒さを忍んでよく耐えることは、地獄道克服の行である。

2、餓鬼界……足るを知るの行
餓鬼は貧欲が飽くことがなく、しかも飢渇(空腹とかわき)に苦しむ。空腹を感じ、水に餓え、不平不満を云わず、粗食に甘んじ、知るを知る事は餓鬼道克服の修行である。

3、蓄生界……労働の苦に耐えるの行
牛馬動物は重い荷物を負って苦役に使われた。入峰修行は重い荷物を担い急坂を登り、悪路を超えて苦労を厭わず行わねばならない。人生もまた苦しい試練を乗り越え、労働作業をいとわずに生きなければならない。即ち畜生道克服の修行である。

4、修羅界……精進の行
阿修羅は勇猛の神である。峰中道中の厳しさね寒さに乏しい食事にともすれば挫ける心を、勇猛心で克服する精進の行である。

5、人間界……懺悔反省の行
心の罪垢煩悩(ざいくぼんのう)を洗い清め、本有(もともと持っている仏性)心に生まれ変わるのが人間行である。悪を止め懺悔をし善を行うことである。「諸悪莫作 諸善奉行」即ち悪を止め善を行うのは仏教の根本を示す行である。「懺悔懺悔 六根清浄」と生きるところに人間の行がある。

6、天道界……よろこびの行
天は歓喜の世界である。山頂に登り眺めを楽しみ、導いていただいたよろこびに充ち、寿命の延びる思いをするのは天道の行である。

7、声聞(しょうもん)界……喜んで教えを聞く行
先達に従って法を聞き、仏道を理解することは声聞行に当たる。峰中の伝承や行事などを先達に聞いて通達するように努める。

8、縁覚(えんがく)界……沈思黙考の行
こうして人間が出来てくるとふとした機縁で悟ることがある。目からうろこが落ちるという。雲が動く、水が流れる、風が吹く、静かに沈思して大自然の中に身を置き、神仏と一体感を持つところに、人間界のせせこましい煩いから離れるのではないか。

9、菩薩界……奉仕の行
菩薩行は六波羅蜜の行とも云う。同行あい助け、現実には新客を導き、己を忘れて他を利する奉仕をするのである。これを上求菩提下化衆生(じょうぐぼだいげかしゅじょう)という。

10、仏界……感謝祈願の行
山中大自然の中に溶け込み、神仏と一つになる心となり、自然に仏性仏心がわき出て、有難うございましたという感謝の心を採灯大護摩供に託し、世界平和、浄仏国士を祈る感謝報恩の世界である。

 
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