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不可解なオリンピック組織委員会森会長の“女性差別発言”騒ぎ −20年後に繰り返された“森叩き”−

 東京オリンピック組織委員会の森会長の、いわゆる“女性差別発言”をめぐる騒ぎの経緯を調べるために、NHKのホームページ「NEWS WEB(https://www3.nhk.or.jp/news/)」から「森会長」をキーワードで検索したところ、今回の“女性差別発言”の一番最初のニュースは下記@で、その次がAでした。
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@ 森会長“発言” 海外メディアも報道「女性の制限を示唆」 2月4日 5時24分 NHK

 森会長の発言について
アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは「東京オリンピックの会長が会議での女性の制限を示唆」という見出しで「東京大会組織委員会の会長が会議で女性は話しすぎると示唆したあと、東京オリンピックの主催側は開催反対論やコストに加え新たな怒りに直面している」と伝えました。

 記事では、ツイッター上で森会長の辞任を求める声が出ているとした上で『森氏の発言は女性に対する差別にほかならない』とか『問題は誰も彼に異を唱えなかったことだ』という投稿を引用しています。

 また、
フランスのAFP通信は「東京2020の会長が会議で性差別発言との報道」との見出しで、日本のメディアの報道内容を紹介した上で、各国の男女の格差を示す世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数で去年、日本の順位が153か国中121位だったと指摘しています。

 また、
ロイター通信は、森会長の発言を受けてお笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんが聖火ランナーを辞退すると発表したことを伝えています。

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A 東京五輪パラ組織委 森会長 午後2時から釈明へ 女性めぐる発言2月4日 12時26分 NHK

  東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長がJOC=日本オリンピック委員会の評議員会で
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言し、国内外から批判の声が上がったことを受け、森会長は4日午後2時から釈明を行うことになりました。

 東京大会の組織委員会の森会長は3日、JOC=日本オリンピック委員会の評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言し、国内外から批判の声が上がっています。

 加藤官房長官は、4日の記者会見で「組織委員会でも、いま、対応を考えられていると思うので、それをしっかり見極めながら考えていきたい。組織委員会が対応していくのが基本だ」と述べました。

 こうした中、森会長は4日午後2時から都内の組織委員会のオフィスで報道陣の取材に応じ、釈明を行うことになりました。
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 これらの報道を見ると不可解な点が2つ有ります。まず、海外の
米・英・仏の反応は、2月3日の“問題発言”が日本国内で報じられて拡散するよりも、かなりタイミンクが早く、かつ内容も充実しているという印象を受けます。何か情報伝達ルートがあったのでは無いかと思われます。
 その後の経緯を見ると海外の反応が、日本の展開をリードしたかの様な流れです。

 次に、森会長は
20年前の総理大臣在職当時も、「神の国」、「銃後の守り」などの“問題発言”をマスコミなどに繰り返し叩かれ、ついには総理大臣の座を追われた経験の持ち主です。
 *参照
(A52 森総理の「神の国」、「国体」、「銃後の守り」発言、議論を封じるマスコミの揚げ足取り(A56 『神の国』は本当に選挙の争点だったのか)

 今回の“女性差別”を報じる方は当然知っているはずですが、今回は
なぜかその点に言及する報道が見当たりません。なぜでしょうか。
 その理由は、過去を報じれば多くの国民は既に
忘れかけていた(忘れていた)、かつての“森叩き”を思い出し、数十年経過して今それを考えると、何の意味もない“から騒ぎ”だったことを認識して、同じ誤りを繰り返してはならないと認識するに至ると判断し、それは今回の“女性差別発言”騒動の展開にはマイナスだと考えたからだと思います。

令和3年2月7日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ