◇ ウィーン空港 ◇

・ウィーン旅行記 2004 vol.1・

〜出国&ウィーン到着〜

2004年10月31日


 台風ラッシュの2004年秋。2年ぶりの海外旅行を敢行。出発前は天気図を見ては台風の発生が無いように祈る毎日でしたが、運良く穏やかな天候の元のフライトとなりました。

 ウィーンまでの約12時間。一度も大した揺れはなく、未だかつて無い快適さでウィーンに到着。飛行機は満員でしたが、オーストリアに入国したのはほんの数人。トランジットがほとんどで、入国審査に向かう途中、本当にこの道であってるのかしらと疑ってしまうほどでした。

 さて、無事荷物も無くならず速やかに到着ロビーへ。ホテルに頼んでおいたシャトルバスの運転手さんを探します。
 空港からホテルまでのシャトルパスの運賃は10ユーロ。ドライバーが空港で名前を書いた紙を持って立っているからとホテルからのメールには書かれていました。

 大勢紙を持った人が並んでいて、なかなか見つけられないのかもしれないと思いましたが、ホテル名と私の名前がきれいに印刷された大きな文字で掲げられていたので、あっという間にドライバーと会うことが出来ました。

 ちょっと背の高いまじめそうなおじさんで、重たいスーツケースを二人分、ひょいっと持って外に置いている車まで運んでくれます。ワンボックスカーに乗っていざ出発。ドイツ語は分かる?英語はしゃべれる?と聞かれたので、英語だけしかしゃべれないと答えると、車窓から見える風景を英語で簡単に説明してくれはじめました。
 空港から市内へ移動する高速道路から見える街は、市内とは全く別の空間で、随分現代的な建物、つまり日本などとさほど変わらないビルが続いています。話しによると、ベッドタウンになっているようで、大型のショッピングモールも並んでいるとか。アウトレットとか?と聞くと、普通のショッピングモールだという答えが返ってきました。

 道から見える看板はなかなか凝っていて、見る方向で違っていたり、動画になっていたりちょっとした技もあり結構アーティスティック。さすが毎年リンツでアルスエレクトロニカ(最先端のCGなどの発表をする大会)を行っている国です。

 途中、フンデルト・ヴァッサーは知ってる?という話しになり、大阪市に彼の晩年の作であるゴミ処理場があるというと、ここから近いので、良ければフンデルト・ヴァッサー・ハウスによってあげようか?という申し出が。
 友達とちょっと相談して、今日は長いフライトで疲れたからと断り、市内に入って行きました。

 思ったより寒くない気候だったので、今日は暖かいの?と聞くと、今日は15度ぐらいだけど、昨日は22度もあったとの事。これは厚手の物を持って来すぎたかしらと、ちょっと不安に。

 街の中心地に近づくにつれ、路面電車やアンティークな建物が続くようになり、良く知るウィーンの街並みが始ります。壁や柱に施される彫刻を窓から見上げるように眺めます。
 気づくとリングを走っていて、左手にインペリアルホテルが見えるとほどなくして右手に国立歌劇場が現れました。ここまでくれば私達が泊まる「ノイヤーマルクト」は目と鼻の先。

 その昔、マリアテレジアが女性の彫刻が官能的過ぎるといって取り壊しを命じたと言われているドンナーの泉(結局市民が彫刻を隠し、女王の死後もとに戻しました)の前を通り、ノイヤーマルクト通りを進むと、見なれた建物が現れました。ペンション・ノイヤーマルクトです。

 空港への到着時間を勝手に勘違いして(こちらから聞き出して初めて、自分のミスだ〜っと繰り返しながら教えてくれました)随分我々を待ってしまったそうなドライバーのおじさんに、少し多めにチップを渡します。ホテルの前でお別れかな?と思っていたら、しっかりポーター役も果たしてくれて、フロントまで荷物を運んでくれました。

   この楽さを味わってしまっては、空港から駅までのリムジンバスと地下鉄を乗り継いでホテルまで移動なんて、今までやっていたことは二度と出来ない〜っ!と話しながらチェックイン。ドイツ語訛りの英語を話す叔父さんから部屋と建物入口、そしてセーフティーボックスの鍵を受取り、ドライヤーも借りて部屋に向かいました。

 今回予約したのはバストイレ付きのツインルーム、朝食付、税金サービス込で一泊一室120ユーロ。今回で3度目の宿泊になるだけに、今までの経験から、絶対にそれよりもいい部屋をとっておいてくれているのだろうと予測。思った通り、147ユーロの部屋が用意されていました。

 高い天井、ベッドの他に小さなテーブルと一人がけのソファーが2つ。更に横 長のソファーが1つ。洗面台は新調したらしく、白さが目立ちます。ちょっと微妙に蛇口が曲がってついているのが、人間らしくて笑えましたが。  ツインとお願いしたのに見た目はダブルなベッド。しかしこれはくっつけているだけなので、早速力仕事にかかります。結構簡単に引き離しに成功。といっても、その幅60cmぐらいですが。

◇ 宿泊した部屋 ◇

 壁にはクリムトなどの絵がかかっていて、ちゃんと緑もあります。お茶の国イギリスだったら絶対にある湯沸しのセットがないのは寂しいですが、なかなか快適な部屋に満足感を覚えます。因みに、このペンション。真夜中でもいつでもちゃんとお湯が出ます。

 荷物を置いて、早速ウィーンの街へ。基本的に時差ボケを出来るだけ速く解消する為、到着と同時に日本時間は記憶から抹消し、現地時間にあった行動をとるようにしています。という訳で、日本では真夜中だろうが、とにかく夕飯を食べに行くのです。たとえ食後気分が悪くなっても(笑)

 とはいうものの、今食べるならスープぐらいかなぁという事でカフェに移動。徒歩1分のシュテファン寺院を仰ぎながら、寺院から少し行ったところにある目的の「カフェ・ディグラス」に移動します。

   ところが!ガイドブックの地図に書かれている場所は「カフェ・アイーダ」。おかしいと言いながら周囲を見まわし、やはり無いという結論に達し、地図が間違っているという結論に達しました。仕方ないかと諦めモードに。
 今度は行きと違う道を通ろうという事で歩き出したところ、目的の「ディグラス」を発見!完全に地図間違ってます、J○Bさん。ブロック一つ違ってます…

◇ カフェ・ディグラス ◇

 突然嘘みたいに現れたカフェに早速入ります。入口は普通の扉で小さめですが、中は結構広く、左右にテーブルが置かれています。正面にはカウンターがあり、忙しくウェイター達が働いていました。

 食事かカフェかと聞かれたので、食事と答え、左側のフロアーの更に置くの部屋に通されました。
 ボックスタイプのゆったりしたソファーに座り、英語のメニューを受け取ります。結局パラチンケンというクレープとパンケーキの中間ぐらいの厚さのものを千切りにしたものがたっぷり入ったスープと、お薦めだから!と何度も薦められたウィンナー・シュニッツェルを注文。もちろん、シュニッツェルは過去の教訓を活かして1つを二人でシェア。眠くなってきた目を必死に開けて料理が出てくるのを待っていました。

 壁には煙草をテーマにした白黒の写真がかけられています。口にタバコをくわえた女性の頬から下だけの写真、タバコの煙だけのポートレート、ちょっとした悪ふざけで無理にタバコを加えさせられている女性と男性のツーショットなど、大人の雰囲気が漂っています。そういえば、ウィーンはびっくりするほど喫煙OKな国。分煙なんて、ほとんどこのこの国では存在しません。

 ウィーンのカフェでは、往々にして注文したものは銀のトレーに載せられています。それはミネラルウォ−ターでも同じ事。更に、普通は無地のグラスですが、時々200ccとか250ccとかの目盛が入っているグラスがそれに添えられていたりして。
 ディグラスで頼んだミネラルウォーターは、その全てに該当していました。何故目盛入りのグラス?

 次に運ばれてきたのはスープ。ウィーンのコンソメは本当に手作りの味がして、かなりおいしいのです。期待して一口飲むと、ああ、この味!ウィーンに来たらやっぱりスープです。中に入っているパラチンケンも、なかなか柔らかくて卵の味が優しくて、時差ボケ気味の体にはとってもいい感じ。

 薦められるままに取ってしまったウィンナー・シュニッツェル。それは驚くほどではないにしても結構大きく、更にメニューに書いていたのでそれがついてくるのは知ってはいましたが、まさか別皿しかもボールで出てくるとは思ってなかった、ポテトサラダがどっさり。これは添え野菜ではなくメインです(笑)やっぱり1つをシェアーで正解でした。

 レモンをぎゅっとしぼってシュニッツェルを切り分けます。口に入れてみると、体にいいものしか使わない、素材に拘ったカフェというだけあって、とってもナチュラルであっさりした味。衣も油っぽくなく、さくっとしていていい感じ。ポテトサラダは、レッドオニオンのみじん切りと細かくカットされたポテトが、恐らくワインビネガーをベースに和えられています。ちょっとすっぱく、結構さっぽりしていて、最初は不思議な味ですが、なれてくると結構癖になりそうな味。

 結局何だかんだ言いながらも二人で完食!しかし、もとから眠い体が満腹になった今、目はもう、重くて重くて。ベストと長いエプロンが似合う、色白で背の高い、茶色い髪の私達のテーブル担当ウェイターに清算をお願いしますが、待ってて、ちょっと待ってて、分かってるって、が続きなかなか清算させてくれない・・・
 ヨーロッパでは良くある事ですが、何しろ清算に時間がかかる。日本では追い出すのに努力しますが、ここは入れる方に努力しているようで(出さないと入らないと思うんだけど。笑)なかなか来てくれません。とにかく、のんびりなのです。
 待たされて数分。もしかすると数十分。カフェの時計をぼんやり見てるとどうやら1時間のずれが。サマータイムの変更をし忘れているようです。それとも我々がおかしいのか?と俄に不安が過ります。ちゃんと確認しておかないと、明日のオペラで泣きをみると話していても、まだ清算は出来ず。やっとの事でテーブルに来てくれた頃には、もう眠さのピークに。

 無事支払いを追え、チップも渡して家路(1週間連泊するだけに「家」感覚)につきます。途中、カフェハイナーのショーケースにカボチャを見つけ、今日はハロウィンだという事を思い出します。

◇ カフェ・ハイナーのマジパン ◇

 日頃から夜遅くまで人通りのあるシュテファン寺院前の広場は、仮装した人々がどんどん増えてきています。ウィーンでもハロウィンは仮装するのだと知り、少々びっくり。子供も大人も楽しそうに歩いています。シュテファン寺院では先ほどまでミサが行われていました。明日は万聖節。祝日です。

 闇夜に控えめにライトアップされたシュテファン寺院を見上げ、ペスト記念碑があるグラーベンを見渡す。3度目だけにもう見知らぬ土地ではなく、海外でもないような気がします。

 今までには無い特別感のなさに不思議な感覚を覚えながら、ウィーン第一夜目が終わって行きました。


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