〜ミュージカル『エリザベート』2〜
2004年11月05日
『か、かわいい・・・よね?これは、どうみてもかわいい方だよね?』
ここで判断に不安を一瞬覚えるっていうところがまた笑える、いえいえ、そんなことはありません。舞台の彼女はかわいい・・・ちゃんとかわいいですってば!(笑)
『・・・怖いよりかわいい方がいいけど、見た目をとるか、歌をとるかっていわれたら、やっぱ歌だよね・・・と思う・・・けど、かわいい方がシシィっぽいといえばシシィっぽいし。あーーーーーっ!!!でも怖い方がオリジナルキャストでいいって聞かされてると、歌もどんなに凄いか聴いてみたいって思うし、怖い顔がどれぐらい怖いのかも見てみたくなるじゃない!!(おいおい)やっぱ、怖い方が良かったよーっ(涙)』
と、絶賛無いものねだり中(笑)でも、かわいい方もそれなりに、うまいんです。流石ウィーンだけに、歌唱力はなかなかのものです。でも、かわいくてこれだけ歌えるとなると、ますます怖い顔エリザベートも見てみたかったとなる訳で。でも、でも!もう明日は日本に帰るんだしっ!!!どうしろっていうのよっ?!と、ここで怖い顔を超一押し!だった友達を再び思い出し、
『あ〜あ。怖い顔の話しは聞かなきゃ良かった・・・ていうか、知らなきゃこれで済んでたのに。これぞ「知」の悲しみだわ〜』
などと考えつつ、いいかげん舞台に集中しなさいよ!と自己ツッコミを入れて漸く平常心へ戻り始めます。それにしても、ねぇ。怖い顔のエリザ役の人、一部の日本人から名前でなく「顔の怖いエリザベート」で認識されてるなんて、思ってないでしょうね(笑)
さて、舞台には大き目の抱き人形が出て来たり、とにかく少女チックな展開を見せています。そして、物語は彼女が子供時代から「死」つまり「トート」に惹かれていたという事を描いていくのです。
第一幕のスタートは、ポッツェンホーフェン城のホールから。バイエルンのマックス公爵の令嬢、シシィはなかなか活発な女の子。退屈な集まりからは逃れたいと思っていますが、教育係の女官は姫君としてちゃんとしてくださいと彼女に迫ります。ですが、好奇心旺盛な彼女。親戚が集まる場で、皆を驚かせようとしてサーカスの曲芸を披露する途中で転落し、ここで彼女は初めてトートと出会うのです。ビジュアル的に、極めて良好!(笑)美しいツーショットです。
ところで、これは、そういう舞台の作り方もあったか!とちょっと驚いたのですが、エリザベートの舞台セットは、写真、もしくは写真のような絵が描かれたスクリーンが多いのです!日本版がどうなっているかは分かりませんが、背景というか、セットが写真に見える画像なのです。リアルというか、製作費がかからなさそうというか(笑)とにかく、上手く合成しているというか、こんなのもありなんだと、まあ正直驚きました。もちろん、舞台装置も、舞台を横に遮り自由に動く最初の橋のようなものとか、奈落が凄いとか、小さな回り舞台が2つ同時に出てくるとか、色々凝っているのですが、今まで私が見てきた舞台で写真(私にはそう見えました)をこういう風に使ったものはなかったので、その手があったか!という驚きがありました。書き割りとかセットが舞台美術の基本、みたいな感覚を覆したような感じがしました。シュタインベルク湖畔、宮殿の広間など、写真とセットを上手く見合わせれば、確かにある意味リアル。面白いですね。下手に使うとチープになってしまうところを上手く組み合わせて使っています。
さて、姉へレネとオーストリア皇帝フランツ=ヨーゼフが婚約する事になっているのですが、ここで皆さんも知る通り、皇帝は妹のエリザベートを選んでしまうという、まあいわば事件が起こります。
が、その前に。この皇帝は母親の言いなりで、完全に操られている状態であるというのがはっきりと提示されます。
1幕の第4場で、皇帝とエリザベートが初めて出会います。そして、皇帝は彼女と婚約。ウィーンのアウグスティーナ教会で結婚式をあげますが、その鐘を成らすのは、トートでした。
さて、シェーンブルン宮殿での舞踏会の場。このシーンは、数日前私が見た宮殿の大広間そのもの。それなりの奥行きも感じられます。なかなかエリザベートのセット、面白いと思います。何というか、ウェストエンドやブロードウェイにない感覚です。チープとゴージャスが一体化してるというか(笑)
さて、ここに登場するのはトート。皇帝夫妻を見てやろうと、口さがない宮廷の貴族や見物人が多く集まる中、トートはフランツ=ヨーゼフの恋敵として登場します。これが日本で名前は聞いた事がある「最後のダンス」なのね!と耳を傾けます。トートの衣装は正装という感じで、黒の燕尾服ですが、襟はブルー。袖の折り返しもブルー。まあ、どう見ても皇帝より見目麗しく、魅力的。
昔、マシュー・ボーンの『シンデレラ』のエンジェルを、極めてトート的だと言った人がいたなぁと思い出しながら、この美しい死神を見つめていました。
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