イタリア旅行記  〜帰国・空港編〜  

<6/29・午後>

外に出ると何故か6人の為に観光バスが待っていました。
「えっ?」と言いつつ中へ。座った途端またガイドさんが快調に飛ばし始めました。

「はい、では皆さんをリナーテ空港にお送り致します。すごい雨でしたけど、大丈夫でしたか?昨日のひどい雨の時には何処にいらっしゃいました?ホテルですか?良かったですねぇ。雨、ひどかったですものね。安心しました。今は少し止みかけてますね。ところで、皆さんイタリアで買ったお土産は全部トランクに入れて頂きましたか?大丈夫ですね。これから空港に行って、税関でスタンプをもらいますので、免税手続きの書類は手にお持ちになってください。スタンプをもらった後、私が責任を持って投函致しますので、お渡し下さい」
話しを聞きながら、この人やっぱりいい人なんだなぁと思いました。けたたましくガイドをしてくれるのもサービス精神旺盛だからなのだし、はっきりものを言うのはきっとミラノに長いせいなのでしょう。初めて会った時から他の人がいう程怖いとは思わなかったのですが、この頃には親しみを感じはじめていました。

リナーテに着く頃には空が明るくなりはじめました。
「あ、皆さん。良かったですね〜。ほら、青空が見えてきましたよ!」
嬉しそうにガイドさんが騒ぎ始めす。
「さ、それではリナーテにもうそろそろ到着です。皆さま、この度はジャルパック、アヴァビューをご利用下さいましてありがとうございました。楽しんで頂けましたでしょうか。それでは皆さまのますますのご発展とご健康を祈りつつ、ガイドを終わらせて頂きます。本当にありがとうございました」
しっかり締めくくってくれて、バスはリナーテ空港に到着しました。 降りるとポーターが待ち構えていていたので荷物を渡し、6人プラスガイドさん2人でアリタリア航空のカウンターを目指しました。

空港は日曜日のせいか驚く程の人人人!
「凄い人ね。今日は日曜日ですからね。イタリア人って1人の見送りに家族全員が来ちゃうのよ。混雑しちゃってもぅいつも大変なんです。1人に6人ぐらい見送りが来ちゃうんだから」
うーん、イタリア人らしい理由でこの空港は大混雑しているのでした。 アリタリア航空のカウンターは言うまでもなく混雑しています。カウンターには韓国人らしい人がハスキー犬をつれて立っていました。どうやら犬も飛行機に乗せるようです。 かなり待たされた後、漸く荷物の手続きが終わりました。でも、持ち手に巻かれた紙が何だか・・・・これでいいの?と思いつつ免税手続きをする為に全員で移動。

「ここでお店でもらった書類を出して下さい」 と言うので6人は一列にならんで書類をカウンターに出しました。すると何だかトラブル発生らしい様子。ガイドさんが話し始めました。
「もう、何でこんな事になるのっ!荷物は関空送りだって言ったのにフランクフルトにされちゃってるっ!」 と日本語で言った後、免税手続きの人とイタリア後で交渉しはじめるガイドさん。私の嫌な予感は的中していました。先ほど荷物に巻かれていた紙は「KIX」(関空)ではなくフランクフルトになっていたのです。
「このままスタンプ押してくれる事になりました。皆さんこの人いい人ですよ。本当は荷物の手続きをし直してからじゃないとスタンプ押してくれないのに、先に手続きしてくれるって。お礼言って下さい!」
いい人だと言いながら全員で「グラッツェ」と言い無事免税手続き終了。封筒をガイドさんに渡して完了しました。

再びラッシュの電車なみの人込みをかき分けてアリタリアのカウンターへ。
文句を思いっきり言い、荷物は漸く「KIX」行きになりました。また今来た道を戻っていよいよ出国手続きです。
「では、私はここから先に入れませんから、皆さんくれぐれも気をつけてお帰り下さい!」

遂にイタリア出国なんだなぁと思いつつガイドさんと別れを告げ、金属探知器の下をくぐりカウンターへの長い列に並びました。中に入ると少しは人が少なくなるのかと思いきや、更に混雑は激しくなりました。
「凄い人だね」と言いながら友人とはぐれないように気をつけていました。
私たちの後ろに並んでいるのはイタリア人の女の子の集団。全員リュックサックを背負っています。この子達がまたうるさい、うるさい。後ろから私たちを押してきながらずっと絶好調でしゃべっています。
どうやら話題はリュックにつけたキーホルダーのようで、「ピッコロ〜ッ!(小さい)」と一人が叫ぶと全員で復唱。「カリーナ〜!(かわいいっ!)」と言うとまたまた全員で合唱。早くここから逃れたいと思いつつ待つこと十数分。漸く出国手続きのカウンターに辿り着きました。
係の人にパスポートを出すと日本語で「どこ、行くの」日本語だ〜っと思いつつ「日本の関空に帰ります」「でも、フランクフルトに行く」「それは乗り換えです」と言うと、通っていいというジェスチャー。

漸く免税店が現れました。残ったリラを全て使うべく、持っているリラと同じだけの値段のチョコを持ってレジへ。でも、どうもそのチョコは値段の違う箱につっこまれていた様で、思ったよりずっと高かったのです。もう、こんなに並んだのにと思いつつ別のチョコを持って再び並び直し、漸くリラを使いきる事が出来ました。

6人揃ってアリタリアのゲートへ。どうも先ほどの雨で全体に飛行機は遅れてしまっているようです。
「ここであっていますか?」とカウンターに聞くとあっていると言うので安心してゲート6の所で待っていました。
ここは日本の空港とは違ってまるでバスや電車の待合室のような気楽な作り。10ぐらいのゲートが一部屋なのです。
もうとっくに出ているはずの飛行機がまだ出発していないというボードを眺めつつフランクフルトでの乗り換えがちょっと心配になり、困ったと言い始める私たち。場内放送はずっと入っています。でも、それは全てけたたましいイタリア語で何を言ってるかわかりません。
「○△□○△□○△□○△□○△□!ペッポン」
このペッポン(楽器のような音)は必ず放送の最後に入る区切りの様です。待てど暮らせど私たちの飛行機の出発の知らせは入って来ません。だんだんイライラしてくる私たちの神経を逆なでする「ペッポン」は絶好調で鳴り響いています。
「どうなってるんでしょう」と言っていると、旅慣れた一番年上の男の人が驚くべき情報を持ってきました。
「ゲート2に変更!」「えーっっ、お知らせも何もなくっ!!!!」全員パニックで急いで同じ部屋のゲート2に移動しました。
「イタリア語だけで放送入れるなんてっっ!」あの「ペッポン」曲者でした。

どうにか間に合いゲート2の列に並びました。私達だけでは永遠にゲート6で待ってたかと思うと背筋が寒くなってきました。出発時間を30分過ぎた時、漸くシャトルバスが来ました。
乗り込んで飛行機の下にようやく到着。バスを降りて見てみると、そこには小さな飛行機が。タラップが梯子のような簡単なもので、さっき掛けましたというような代物なのです。
「嘘でしょ」といいつつ一応階段にはなっているタラップを駆け上がりました。私たちの運命やいかに。

・上の写真はミラノスカラ座前のレオナルド・ダビンチの像(左)とミラノのドゥオーモ(右)
 を撮影したものです。(著者撮影)

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