E53
「アメリカ関与」の視点が抜けている、「慰安婦に関する『ユダヤ系団体の意見書』」

 11月24日の産経新聞は、「記憶遺産申請の慰安婦文書が『ホロコーストを曲解』 ユダヤ系団体が意見書」と言う見出しで、次のように報じていました。
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記憶遺産申請の慰安婦文書が「ホロコーストを曲解」 ユダヤ系団体が意見書
2016年11月24日 産経新聞 東京朝刊 総合・内政面

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(記憶遺産)に登録申請された慰安婦に関する文書について、カナダのトロントにある「カナダ・イスラエル友好協会」が「申請者はホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の意味をねじ曲げている」と批判する意見書をユネスコに送付していたことが23日、分かった。意見書は、
ユネスコが一部加盟国の「政治的道具になった」とした上で、「性奴隷」「慰安婦20万人」の主張は裏付けを欠くと指摘している。

 ユネスコへの登録申請は、日本や中国、韓国など8カ国・地域の
14市民団体で構成される国際連帯委員会が中心となって行った。

 登録申請書は慰安婦制度について、「ホロコーストやカンボジアの(旧ポル・ポト政権による)
大虐殺に匹敵する戦時中の惨劇だ」と主張している。

 これに対し、友好協会幹部のユダヤ人、イラナ・シュナイダーさんら3人が署名した意見書は
「ホロコーストに匹敵するものはなかった」とする元駐日イスラエル大使のエリ・コーヘン氏の指摘を引用して反論。その上で、「中国によるチベット侵略の方がホロコーストの概念により近い」とし「もっとひどいのは文化大革命だ」と強調した。

 また、慰安婦問題が
東京裁判でも問題にならなかったことや、米当局の調査でも慰安所で働いていた女性のほとんどに給与が支払われていたなどとして「性奴隷説」が証明できていないと指摘した。

 1991年まで慰安婦の存在が世界に知られなかったのを、アジアで「女性の性」がタブー視されていると説明した登録申請書は「説得力がない」と一蹴。慰安婦問題は経済力を持つようになった
中韓が反日感情をあおるための「道具の一つだった」と解説した。
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 ユダヤ人団体の指摘は的を射たもので、
高く評価することが出来ます。しかし、一つ大事な事が抜けています。それはアメリカの関与について全く触れていないことです。

 記事は「慰安婦問題は経済力を持つようになった
中韓が反日感情をあおるための『道具の一つだった』と解説した」と有りますが、慰安婦問題は1992年の宮沢訪韓にタイミングを合わせたように勃発した問題です。その直前まで、日韓関係も正常化から27年が経過し、今回ようやく懸案のない訪韓になると評されていたのに、突然日本のマスコミ“慰安婦問題”と騒ぎだし、宮沢総理は災難に見舞われたのです。このような表面的な経緯を見ても、慰安婦問題の震源地が韓国でないことは明らかです。そして、中国の参戦は比較的最近のことで、中国は震源地ではありません

 “慰安婦”と「ホロコースト」を結びつける主張は、平成19年3月6日付の
カリフォルニア州の地元紙サンノゼ・マーキュリーもしています。
 また“性奴隷”と最初に言い始めたのは、報道を見る限り韓国を訪問した
クリントン国務長官ですが、アメリカの国務省はマスコミの確認に対して明言を拒否していました。

 
アメリカの連邦・地方議会は「慰安婦決議」に熱心でした。決議を阻止すべく、日本の議員達が説明のためにアメリカを訪問して、説得に努めましたが彼等は耳を貸さず、説明をすればするほど彼等の「誤解」は強固になっていきました。

 また
アメリカのマスコミは終始一貫して、問答無用で日本を非難、罵倒しています

F59 知性も、理性の片鱗もない、アメリカ人の「慰安婦」対日非難

F61 アメリカ人は本当に「慰安婦」を「誤解」しているのか(アメリカ人の「悪意(敵意)」を直視すべき)

E48 ニューヨーク・タイムズ紙が日本に浴びせる罵詈雑言

E49 アメリカの悪意を直視すべき―ニューヨーク・タイムズ、ワシントンポスト、ロサンゼルス・タイムズ3紙の根拠のない日本罵倒の意味― 


 慰安婦問題は
日韓緊密化を警戒したアメリカがそれを阻止すべく仕組んだ陰謀であると見て間違いないと思います。

平成28年11月28日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ