◇ グランドホテルのゴージャスなレストルーム ◇

・ウィーン旅行記 2004 vol.12・

〜フレンチレストラン"ル・シエール"〜

2004年11月03日


 回転ドアを通りロビーを抜け、レストランのある7階へ移動します。久々の普通のエレベーター(ホテルのは旧式でエレベーター自体に扉はなく、移動中に通る 壁が全部見えるのです)で見晴らしの良い最上階へ。辿り着いた先は、落ち着いた雰囲気の美しい空間でした。

 エレベーターを下りて両サイドにあるレストランをチェック。左手がフレンチで、右が和食、雲海です。当然の事ながら、予約している「ル・シエール」へ直行。 まだお昼になったばかりなので、我々が一組目のゲストです。

 入口で予約していると告げ、店内へ。入口にはピアノがあり、その傍らには流木のような茶色いものがワゴンの上に載せられています。コートを預け、案内された窓側のテーブルに着きました。
 ここからの景色は良さそうですが、あいにく今日は曇り。そして、昼間なので日よけが出されていて、残念ながら景色は楽しめません。

 すぐにウェイターがやってきて、まずはドリンクをオーダー。飲めない我々はオレンジジュースとスティルのミネラルウォーターを頼み、料理のセレクトに入ります。

 当然の事ながら、メニューの表記は英語とドイツ語のみ。プリフィクスになていて、頼んだ料理の数で価格が決まるようになっています。

 自分の食べられる量とウィーンのポーションを考えれば、選んではいけないものなのに、やっぱり選んでしまうスープ…
私が選んだのは、スライスした牛肉の前菜、ココアソース添え(実は、この当時結構ココアを使ったソースがフレンチではよく出ていて、ウィーンに行く少し前に日本で食べた、フォアグラの茶巾包み、ココアソース添えがとてもおいしくて、思わずここでも頼んで見たくなったのでした)、キャロットスープ、そして無難に牛ステーキ。前菜もメインも肉なので、ちょっとどうかな?と思いましたが、前菜ですから、そんなに肉ではないだろうと勝手に判断。魚は、山の国オーストリアだけに頼む気になれず・・・昨日のサーモンも島国日本から来た私には、鮮度に欠けていました。

 いかにも見習という感じの、色白で金髪の高校生ぐらいの男の子が、チーフらしきギャルソンの指示を受け、一生懸命動いているのを見ているうちに前菜の前の前菜が運ばれてきました。
 まずは自家製ソーセージとチャツネの小さな前菜。これがおいしい!思いっきり期待が膨らみます。
 そして、前菜。思ったより大きい肉が・・・これがスライスとは、恐れ入りました。味はいいですが、既にボリュームが。しかも、野菜が無い・・・
 次に来たのは、スープ。これが!驚いたことにキャロットのポタージュなのに、グレーでパープル。しかも、大皿にナミナミと入っているではないですか!!!  これ、一人分なの?スープだけで満腹になっちゃわない??という量です。でも、一口飲んだ途端、これはおいしいっ!!!!多分一皿飽きずに飲めちゃう!に変わっていました。ああ、ボリュームは凄いけど、だからウィーンでスープを頼むのはやめられません。

 さて、時間とともにお皿の中のスープはナミナミから小ナミになると思っていたいたのですが、甘かった。この量。日本なら3人分かもしれません。飲んでも、飲んでも、白いお皿の底が見えないっ!!

 と、格闘中に、隣りの席にお客さんが到着。60前後のマダムと同じ歳ぐらいの男性2人。おしゃれに気をつかっていて、なかなか素敵です。ドイツ語かと思いきや英語で歓談。自然に耳に入ってくる会話からすると、女性はバレエ学校の先生かなにかで、全員劇場関係者らしい。国立歌劇場のすぐ近くだけに、なるほど〜と頷きます。

 どうにかこうにかスープとの格闘を終え、これにメインが来るの?状態でしばし休憩。先ほどから見習いの男の子がきびきびと動いていてとても気持ちが良いな〜と店内を見渡します。日本ではこういう高校生ぐらいの男の子の「見習」って見た事がないので、ここにもまた日本と違う伝統のようなものを感じます。
 店内は大きくもなく、小さくもなく、満席になっても充分目が行き届くぐらいの大きさです。私の席から見える正面にワインカーブがあり、その奥が厨房のようで、その入口にスタッフが控えています。
 先ほど流木みたいだと思ったものは、鹿の燻製だったようで、ナイフで削るようにしてサーブされるものでした。

 さて既に満腹なのですが、いよいよメインです。
運ばれてきました。思ったより小ぶり、でも今の私にはその半分でいいサイズのステーキが。まあ、自分でまいた種は「食べなきゃ」(笑)ならないという事で!意を決してとりかかります。
 ミディアムって言ったのに、しっかりウェルダン・・・な牛ステーキも、やっぱり食べても食べてもなくならず。このお店、無くならない魔法でもかかってるんじゃないでしょうか?っていうぐらい、努力も空しく成果があらわれない!

 激しい闘いを何とか終え、あのスープが凄かったと、既にこの場で反省会をひらく二人(笑)。
そこに、チーフらしきギャルソンが登場。にっこり笑って、デザートは?と聞いてきました。
デ、デザート??この上に??とおののきながら、
「もう、これ以上お腹がいっぱいで食べられません」
とにっこり笑いながら答えます。 「では、コーヒーか紅茶は?」
ここで、何故かいきなり考えモードに。そして次の瞬間、
「ではメランジュを」
ああ、頼んでしまった…でも、店によってメランジュの味も違うので、どんな風なのか試してみたい!という方に負けてしまいました。
「まあ、メランジュだけならどうにかなるよね」
と二人、言い訳がましく話していると、目の前にプラターの観覧車?というかわいい形をした物が運ばれてきました。
 ループ状の台座の上に、観覧車のように小さな受け皿がぐるりとついていて、その上に小さな焼き菓子が色々乗せられていました。かわいいっ!それにおいしそう!でもお腹がいっぱい・・・(笑)

「こ、これは・・・」
「随分凝ったお茶うけで」
「でも、こう出されちゃうと・・・」
「・・・食べちゃう・・・よね?」
もう一部の空きもございませんっ!!という状態の胃袋でまだ食べる?!と我ながら驚き、どよめきながらも、何故か手は観覧車のプチ菓子へ。そこにメランジュが登場。
見た目はまさしく、カプチーノ。こんなに繊細で美しい泡はなかなか見たことが無いというぐらい、真っ白で美しいスチームミルクがふんわりとのっています。

 一口飲んで、これは!と驚く。おいしい!こちらに来てから一番おいしいメランジュかもしれません。やっぱり頼んでよかった〜と大満足でボリュームたっぷりのランチが終了。おいしかったと告げ、精算を済ませてレストランの外へ。

 そして、足を運ぶのはレストルーム。ここがまたゴージャスなつくりで、更にハンドタオルが面白い形で設置されていたので、思わず写真撮影を敢行(笑)
 ハンドタオル一枚ごと、端っこにテープがループ状に縫い付けられていて、四角く折りたたまれた状態で、管に通されて設置されています。きれいなタオルを管についた状態で使い、使い終わったら、そのまま下に落とすと、自動的にクリーニングボックスに落ちることになっているのです。
 レストルームの手拭って、ロール状になっているタオル、ペーパータオル、エアーが主流で、こんな普通のハンドタオルを一枚ずつ使ってもらうべく、重ねておいてある所って、珍しいですよね。昨日のコルソーもそうでしたが、ウィーンでは高級店の場合、結構このパターンが多いようです。

◇ ハンドタオルの証拠写真 ◇

 文化の違いがはっきり出るのは案外レストルームという説にまた、新たな証拠が加わったと思いながら、エレベーターホールへ向かいました。


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