◇ ウィーン国立歌劇場のリーフレットです ◇

・ウィーン旅行記 2004 vol.14・

〜バレエ「白鳥の湖」〜

2004年11月03日


 マシュー・ボーンの「Swan Lake」は言うまでもなく何度も観てますが、原点であるクラッシックバレエの「白鳥の湖」を生で観た事が無い。(映像ではもちろん観てますし、ディスクで持ってもいますが)まあ、言ってみれば、「初生白鳥」(変な日本語。笑)

 そして、こちらに来てからウィーン国立歌劇場に毎日通っている状態ですが、過去2回のウィーン旅行でも、バレエを今まで見たことが無い。つまり、「初バレエ@ウィーン」!
てな訳で、色々初めてが揃ったバレエ「白鳥の湖」を見るべく、国立歌劇場に足を運びました。今日の白鳥はヌレエフ版。そう言えば、ヌレエフ版のバレエを生で見るのも初めてです。

 さて、ヌレエフ版とくれば!もう、王子はめちゃめちゃ踊らされているはず(笑)跳んで、まわって、忙しいに違いありません。きっとプリマよりも目だっちゃうぐらいの勢いを期待して、いざ劇場内へ。

 さて、ここでとっても基本的な事ですが、どんな時でも、ウィーン国立歌劇場のオケピに入るのは、ウィーンフィルです。という訳で、今日もやっぱりウィーンフィルのメンバーが伴奏をする訳です。
 でも、やっぱりチームC?(笑)ここの演目は内容に応じてA〜Cのランクがつけられていて、チケットの価格もそれに合わせて設定されています。そのシーズンの話題のオペラはランクAで、バレエはだいたいCカテゴリーにランクされます。初日に観た「ジークフリート」はBで、明日見るオペラ「ドン・カルロ」はAになっています。という訳で、そつはないけどさして感動もしない(笑)オケが今日の御供です。というか、平均年齢が見てすぐにわかるぐらい若い!でも、AMPの白鳥、公園のシーンでヴァイオリンソロを間違えたブロードウェイの演奏者のような事は絶対に無いはず!(笑)

 いつもより客席も少し平均年齢が若く感じられる今日の劇場は、オペラの時とはまた少し違って見えます。今日の我々の席は1階土間席。前方センターなので座高負けは気になりますが、基本的に見えやすい良い席です。

 開演時間を迎え、劇場の明かりが落とされます。いつもの落ちついた赤い幕がゆっくりと開き、一気にヨーロッパのとある国へ誘われました。

 舞台のセットは全体に淡い色合い。落ちついた淡い色のピンクを使ったセットの花柄の壁を見て、うーん、ウィーン流だ〜。ヌレエフ版でもパリオペと違う〜!お国柄で出てる!!と興味深くチェックします。とにかく、全体が控えめな感じです。あの、セットがバーンと豪華!なヌレエフの舞台とは、かなり違うテイスト。別にそれが悪いという事ではなく、とにかくウィーンらしい色使いでフェミニンなのです。まあ、何というか、パリオペみたいに垢抜けてはいないんですけど(笑)かわいらしい感じにしあがってます。そして、出てきたダンサーは皆美しいスタイルで、美しい。毎年お正月にNHKで中継しているニューイヤーコンサートで見ているダンサー達です。

 さて、王子。注目のジークフリート王子です。何せヌレエフ版ですからね。バレリーノは躍らされますよ〜。楽しみです!

 と、期待の中で出てきました。ジークフリート王子!目を見張るような感じではありませんが、主役だなとわかる存在感を出しています。
 そしてその踊りは・・・ほう。そう来ましたか!って感じです。何がかと言うと、すっごく確実な踊りをするのです、このジークフリートは!つまり、え?これヌレエフ版なの??っていうぐらい、一つ一つを確認するように着地されてます。練習かってぐらいに(笑)何かスピードが・・・感じられないんですけれども。色々動きが入っているのは多分クリアー出来ているのですが、こんなに華麗でないヌレエフ版、初めて観た(笑)って感じ。何故だ。何故なんだ!あの装飾華美でそんなに動くの?! ってぐらい華麗に踊るヌレエフ版がメソッドのように見えるのは?!何故〜っっ!!!
 でも、ミスせず見事に踊りきった彼には会場から拍手が沸き起こっています。一般的にみれば、確かに上手いとは思います。何せ、主役ですから。きっと私が求めるものが、ルグリだったり映像で見るヌレエフだったりするから問題なのでしょう。でも、やっぱり期待してしまうではないですか。主役ですから(笑)

 馴染みの音楽が美しく流れる中、どんどん物語りは進み、遂にオデット姫の登場に。有名な情景の音が劇場に響き、小柄でかわいらしいオデットが登場しました。かわいらしい顔の、少女マンガみたいなオデットです。小柄な体も表情も、動きも全てチャーミング。彼女はかなり人気らしく、観客も盛大な拍手を送っています。  キラキラ、キラキラしてるオデットを観ながら、スタンダードな白鳥もいいと、当然の事を感じていました。
 そして、バッサバッサ、カラスみたいに舞台を横切る(笑)ロットバルトにヌレエフテイストをちょっと感じたりして。

   さて、インターバルの後、いよいよ注目のオディールです。
各国の王女たちのダンスを見ながら、マシュー版も頭によぎりつつ、オディールの登場を待ちます。あのチャーミングなオデットがどう黒鳥で変わるのか?!見所です。オデットが良かっただけに、期待が高まります。

 聞きなれたファンファーレの後、脳裏にはアダム演じるストレンジャーが横 切りつつ!オディールが登場。黒いチュチュを身に纏ったダークな面を見せるオディール。と、思いきや!こんなチャーミングなオディール観たことないわっ!っていうぐらい、オディールもキュートでございます。妖艶という言葉はそのカケラすらなく、ロットバルトが付いて来なかったら、また黒い衣裳でなければ、オデットそのものというぐらい、かわいいキラキラ光線を発しています。うーん。いいんだけど、いいんだけど、オディールじゃないっ!いいんだけど、違うのよ!という心の叫びがここでもまた、私の中では巻き起こる…(笑)

 さて、ここからは目の離せない展開です。ヌレエフ版ではこの二人は一体どうなるのか?森の中に王子が登場。そして、ロットバルトも絶好調でバッサバッサやってます。そして、ここで意外な展開が!これってクラッシックバレエ版「白鳥の湖」では一般的なんでしょうか?
 オデットを助けるべく森にやってきたジークフリート。そんな彼の前に立ちはだかるのは、言うまでもなくロットバルト。そして、巻き起こる、白鳥の湖の水の乱!
今や舞台には大波がばんばん寄せては返し、寄せては返ししています。もう、凄いのなんのって、ばっさばっさ波が、いえ、波を表す水色の布が揺れる、揺れる! 歌舞伎かってぐらいの勢いで、布が波打っています。す、凄い(笑)
 そして、遂に!何と王子とオデットが布の波に飲まれてしまったではないですか!!!あれ?白鳥の湖って溺れ死にだったっけ?
おっかしいな〜。二人は溺死??私にしては、この展開。かなり衝撃的なんですけど。

   白鳥の湖、恋人達の死因、実は「溺れ死に」だった説を前に、個人的には何だか笑いが起こりつつ、ブラビー、ブラビー!と湧く会場の他の観客とともに惜しみない拍手を送ります。
 そうか〜。あの波は凄い。ロットバルトの魔法だったとはいえ、あれじゃ津波ですからね。死んじゃいますよ。あれに飲まれたら。

 流石ヌレエフ!と、もしかすると原作に忠実な演出かもしれないのに、勝手にヌレエフの解釈と決定し、あ〜おもしろかったという感想を胸に(悲劇で面白かったは無いだろうと言われそうですが。笑)、ウィーンでバレエ、初体験を終えました。


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