◇ 入り口(正門)付近から見たシェーンブルン宮殿です ◇

・ウィーン旅行記 2004 vol.16・

〜 シェーンブルン宮殿 〜

2004年11月04日


 今日はほんの少し遠出して、シェーンブルン宮殿に向かいます。といっても、ペンションから地下鉄で30分もかからない距離なのですが。

 いつものように、ビュッフェスタイルの朝食をしっかり食べ、何で何の変哲もない、ブレザーブスタイルではなく、とってもペクチンな舌触りのアプリコットジャムがおいしいんだろう・・・と今朝も思いながら部屋に戻ります。ノイヤーマルクトの朝食で私が好きなものは、マッシュルーム入りのスライスソーセージ、アプリコットジャム、そしてカイザーゼンメル(パン)です。オレンジジュースとミルクティーも定番ですが、一度アップルジュースだと思ったら、微妙に違う味で(しかも何味だか分からない。笑)失敗したことがありました。そうそう。ヨーグルトと甘く炊いたナツメグの組み合わせもおいしいのです。ナツメグは実が厚く、濃厚な味がなかなか癖になります。リクエストを出せば、ゆで卵も作ってくれます。
 こう書いてみると、ノイヤーマルクトの朝食ってなかなかのものですね。因みに、チーズ類、コーンフレークもちゃんとありますし、パンも何種類かを大きなバスケットに盛っています。(カイゼーゼンメルは遅く行くと売り切れてます)

 さて、しっかりコートを着込んでシェーンブルン宮殿に向けていざ、出発です! シェーンブルン宮殿を見学するのは、今日で2度目。今回は、事前に日本語音声ガイド付きグランドツアーをネットで申し込みました。予約時間は10時半です。
 地下鉄に乗り、車両が地下から地上に出てしばらく経った頃、宮殿の最寄駅に到着。ホームは屋外にあり、車道より1階分ぐらい低い位置にあります。地上に出るのにエレベーターが設置されていて、地上から見ると、普通の道に唐突にエレベーターがあるだけに見え、その下に地下鉄の駅があるようにはちょっと見えません。
 広い空き地にぽつんとあるエレベーター乗り場。これはどこに繋がっているのか?異空間なのか、それとも??と、想像好きな人なら色々考えてしまう。そんな感じです。

 さて、私たち二人が電車を下りた時、もう一組小さな女の子とその両親という家 族連れが降り立ちました。女の子は両手を両親にひかれ、元気に歩いています。
 まずは車道に出て横断歩道を渡り、右折してシェーンブルン宮殿の入口を目指します。その間、ずっと家族連れの背中を見ながらの散歩となりました。

 その道中、以前訪れた時も同じでしたが、やはり今回もシェーンブルン宮殿内で行われるコンサートの勧誘が待ち構えています。といっても、駅から歩いて来たのは我々を含め5人ですから、間違いなく苦戦中です。

 宮殿に近づくにつれ、増えてくるのは観光バス。という事で、駅は閑散としていましたが、宮殿に着く頃には、混雑とはいかないまで、そこそこシェーンブルンは賑わっていました。

 門をくぐり、まずはエントランスを目指します。宮殿に向かって左の道を進み、入口に止まっていた馬車の横を通り抜け、チケット売り場のある入口へ。音声ガイ ド付きグランドツアー40室というのが今日の我々のメニューです。
 大混雑と言う事は無いと思いながらも、ネット予約が出来るので一応しておいた予約番号を持ちカウンターへ。予約時間よりも早いけど・・・と思いながらスタッフに控えを渡すと、ちらっと見ただけで普通にチケットを発券。今すぐスタートしてと言われました。やっぱり・・・無駄な予約だったと予想通りの展開に笑ってしまいます。まあ、混雑時(それがあるのかどうかはわかりません!)には意味が出てくるのでしょうが。

 スタート時間が書かれたチケットに、急にせかされ通路を進みます。何でこんなにタイトな時間のチケットなの?という代物なのですが、これも思った通り時間はあってないようなもので。何せ、人のガイドではなく、「音声ガイド」ですから。急いで進んだ先で私たちを待っていたのは、トランシーバーのようなものでした。  予約時間も、ツアー開始時間も、「目安」に過ぎないとはわかりつつも、何だか守る努力をしてしまうのは日本人気質?

 チケットの半券と音声ガイドを受け取り、いざ宮殿の中へ。
NHKと素人の中間ぐらいのナレーター(わかります?)の日本語の声を聞きながらまずは階段をのぼります。館内はガイドを片手に立ち止まる人があちこちに。皆それぞれの国の言葉で説明を聞いています。

 シェーンブルン宮殿は言うまでもなく、女帝マリアテレジアの宮殿です。外観はマリアテレジアイエローと言われる黄色で、室内も女性らしい雰囲気があります。  内部には、マリア・テレジアの子供達(マリー・アントワネットを含む)や、ナポレオン、そしてエリザベートにまつわる品々が並んでいます。漆の間、陶器の間、そして舞踏会が行われたであろう大広間は、美しい天井画とシャンデリアに彩られています。これぞ、宮廷という輝きを放っています。
  マリア・テレジアの家族達が、仲良く過ごしていたことが偲ばれる絵画やエピソードがあるのと対称的に、そのずっと後にここの住人となったエリザベートの物語は非常に悲劇的で殺伐としています。

 美貌の王妃シシィ(エリザベート)が利用した部屋とそのエピソードは、我々にシシィの孤独を伝えています。と同時に、夫であるフランツ・ヨーゼフの孤独を我々に伝えています。長く生きた国王の人生を、心から気の毒だと思う孤独がここにはあります。
 再現された食卓、執務を行っていた部屋、別々の寝室。そして、エリザベートの最後を物語る絵。
 今回ウィーン最終日にミュージカル「エリザベート」を観るのですが、舞台を観た後だとまた違って見えるのかもしれないと思いながら、エリザベートの軌跡を辿ります。

 今回宮殿の外壁もそうなのですが、宮殿内部も大修復中という事で、所々壁がはがされたり、床がホコリだらけで脚立があったり、電機工事のような音がしてたりと、何だか夢と現実がごっちゃになった、みたいな感じではあったのですが、音声ガイドと見学出来る部屋が22室コースでなく40室コースを選択して増えたという事で、2回目とはいえなかなか充実した見学となりました。

 音声ガイドの機械を持つ手が疲れた頃(正確にはとっくの昔に疲れてたんですけど。笑)見学が終了。当然のようにお土産コーナーが現れます。
 何といっても中心は、フォトジェニックなシシィ。絵葉書、お菓子、カード、ポスターなど色々充実したグッズが並んでいます。相変わらず彼女はこの国のアイドルですね。
 既に前回ガイドブックは購入済みなので、一通りざっと見て我々二人は外へ。グロリエッテの丘までは登らず、前回修復中だった噴水まで歩いてみようという事で、コートをしっかり着こんで外へ。宮殿の庭は、秋という事で、花壇も前回春に訪れた時とは違い、花の姿は少なく、何だかさびしげです。

 強い風の吹く中、ネプチューンの居る噴水まで歩き、振りかえったら見えるのはシュテファン寺院。ウィーンで道に迷ったら、シュテファン寺院を探せば今自分が何処に居るのかがだいたわかります。心強い目印です。

 広い庭、修復中の宮殿を見ながら、冬がもうすぐそこまで来ているウィーンの風とこの宮殿に生きた人々の人生にちょっと凍えつつ、視界に入るシュテファン寺院のすぐそばにあるホテルの部屋を思い出し、自分の家、自分の居場所がそこにあるという気分になり、さあ、家に帰ろうと心の中が何故か少し温かくなって、再び友達と二人揃って駅に歩きはじめました。


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