◇ シェーンブルン宮殿の庭の花です ◇

・ウィーン旅行記 2004 vol.17・

〜 カフェ"ハイナー" 〜

2004年11月04日


 さて、シェーンブルン宮殿見学が無事終わった今、次に向かうのはランチです。 今回連日レストランを予約していましたが、今日は中休みという事で全くの未定。 とりあえずシュテファンプラッツに戻り、何を食べようかと相談をはじめます。

 オーストリアに来て私が食べたいもの。筆頭はコンソメスープで次にメランジェとケーキ。それにターフェルシュピッツ!このターフェルシュピッツ、ザルツブルグのヘルツルという店で食べた味が、未だ忘れられません。どんな料理かというと、牛肉をコンソメで煮て、ホースラディッシュのソースをつけて食べるというごくごくシンプルなものです。でも、ヘルツルというカラヤンが好きだったという有名なホテルのレストランと同じ厨房のリーズナブルなレストラン(ここがミソ)で食べたターフェルシュピッツは絶品でした!
 という訳で、ウィーンで「ターフェルシュピッツ」が有名なレストラン、プラフッタにとりあえず行ってみようかという事に。カフェディグラスのあるシュテファン寺院の裏通りをまっすぐ進みます。そろそろお店があらわれてもおかしくない、という頃、漸く目的の店に辿り着きました。

 ガイドブックで見る限りでは、結構カジュアルOKなのかしらという感じでしたが、窓から見えるレストラン内部は、ビジネスマンとおしゃれをしたご婦人方が主流で、あれ?もしかして高級店だったのかもという展開。
今日の二人の装いは、シェーンブルン宮殿の遠足がありましたので、とってもカジュアル。これではドレスコードにひっかかっちゃうかもしれない雰囲気です。

 うーん・・・とここで尻ごみ。連日贅沢ランチというのも、幸せ感が薄れてもったいないし・・・という事で、とりあえずカフェ、ハイナーでランチをやってるだろうという事で、今来た道を引き返しました。

 ディグラスの前を通り、どんどんシュテファン寺院に近づく頃、目的のカフェ、ハイナーに到着。実はこのハイナー、ケルントナー通りにもあるのですが、本店はこの裏通りの店なのです。(だと思います。笑)

 ショーウィンドーはいつもながらにかわいいマジパンのお菓子が並んでいます。ドアを開け、店内にはいると最初に現れるのは、ケーキの入ったショーケース。その上にはマジパンや持ちかえり用のお菓子が並んでいます。その奥がカフェになっていて、その境界線の左端には、カフェのメニューが置かれていました。
 小さい店内に入り、カフェを利用する旨を告げ、奥に通されます。まだどうやらランチタイムのようです。
 今日のスープセットは、グラーシュとプチフランスパン。流石に連日の豪華ボリュームたっぷりランチで人並みに胃もくたびれモードなので(笑)スープとパンと、後ちょっと一品を二つとって、二人でシェアしようという事に。
渡されたメニューを見ると、カラー写真でおいしそうな前菜が並んでいます。ああ、迷う!
 そして話し合いの結果選んだのは野菜のゼリー寄せのようなテリーヌ。そして、サーモンのムース。このムースはガイドブックで見て、食べてみたいと思っていた一品です。

 ブロンドに青い目の、見るからにヨーロッパというウェイトレスさんが注文を聞きに来ます。髪を一つにまとめ、三つ編みにして後ろにたらしています。カフェの制服は、どちらかというとチロリアン系で、トータルでとてもキュートで、とてもにこやかな対応ですが!良くみると、深いシワが顔に刻み込まれていて(笑)格好と印象の割りには結構年配です。でも、チャーミングなのです!
ミネラルウォーターのガス抜きはないというので、オレンジジュースを頼み、狭いテーブルにナイフ&フォークをセットしてもらいながら料理を待ちます。

 店内はなかなかアダルトで、おじいさん、おばあさんがゆっくりケーキやコーヒーを楽しんでいます。のんびりした空気の中、今日はここで正解だったねと話す二人。 本当に地元の人が日常的に通っているという雰囲気が漂い、裏通りなだけに、観光客からはかろうじて隠れることに成功しているという感じです。と言ってる私たちこそ観光客なのですが(笑)

 まず最初に来たのは、グラーシュ。白いカップにたっぷりはいったトマト色をしたスープ。そしてそれに添えられたフランスパン。小さめのカップとはいえ、きっとこれだけで結構お腹が膨れるだろいうという予想のもと、早速スプーンを手にもち味を見てます。
 グラーシュは日本でいうシチューで、近いのはビーフシチューです。ビーフシチューよりももう少しスープっぽいという感じ。日本のそれに比べると、ちょっとスパイシーですが、ハイナーのグラーシュはなかなかコクもあって美味です。アツアツのスープが少し冷えた体に染み渡ります。
 それに添えられているのは、丸いちょっと大きめのフランスプチパン。こっちもちゃんと温められていて、ちぎろうとすると、皮がパリパリっと割れて小さなかけらが落ちていきます。そして、その中はふんわりとした生地が待っていました。とても良い香りが漂っています。
 一口サイズにちぎって口に運ぶと、香ばしい香りと、歯ごたえの楽しい皮と、もっちりとした生地が口の中に広がりました。
「おいしいっ!!!」
実はこのパン。私の今までのちょっと長くなってきてる(笑)人生の中で、記憶に残る、5本の指に入るぐらいおいしいパンでした。ハイナーはケーキが主流だと思いますが、ここのフランスプチパン、絶品ですっ!!!
ああ、幸せ。本当幸せ。何の変哲もない普通のパンなのに、香りといい、味といい、歯ごたえといい、素晴らしい。ああ、恐るべし、ウィーン!恐るべしハイナー!!

 さて、頼んでいた料理が運ばれてきました。サーモンのムースと野菜のゼリー寄せです。野菜の方は、大胆にどっとマヨネーズ系ソースが下に敷かれています。
 と、ここで先ほどのチャーミングなおばさんウェイトレスさん(いつもながら勝手に命名。笑)をキャッチして、シェアするのでお皿を2つ下さいと英語でお願い。ところが!若おばさん(命名の展開系。笑)ちょっと英語が辛い人で・・・
「・・・・・」
という無言の先に、困った困った顔に。困ってもチャーミングだけど、更にシワは深まり、何故かチャーミングと年カサが比例してアップ!そんなおばさんにつられて、私も何だか焦ってしまいます。が、他に言い様もないので、お皿を2枚下さいと、今度はお皿を指差してゆっくり話します。
が、空のお皿がないので、料理の入ったお皿を指差したのが悪かった!おばさんはますます困惑顔に。
「・・・・・・・・・・・○×△○×△○×△」
今度はこっちがドイツ語に困惑!うーん・・・もしかすると、料理2皿だって言ってると思われたんでしょうか?しかたなく、もう一度為すすべもなく、英語で繰り返します。と、どこでスイッチが入ったのか、ああっ!!という顔になり、困った顔がにっこり&照れ笑いになり、わかったわかった!と厨房の方へ。満面の笑みで空のお皿を2枚持って我々の元に戻って着ました。そして、3人で顔を見合わせ、良かった良かったとにっこり。しかし、若おばさん、不安にさせて申し訳ありませんっという感じでした。

 無事渡してもらったお皿に料理2品をとりわけます。テリーヌは思ったより柔らかく、かつソースがたっぷりすぎる割りに味は薄めで、食べにくさと淡白さに、まあ一度食べたらもういいかなという感じ。一方のムースは、私には1つを二人でシェアするぐらいが丁度いい量でしたが、なかなかの味。ですが、何といっても今回の一番はあの、スープに添えられていたパンでした。

 何だか居心地の良い空間で、食後もしばしボーっとしてから、ハイナーに来てケーキを食べないなんて、と言いつつ、でもこれ以上入らないと笑って会計を済ませます。カフェを出た後、お土産のお菓子を購入する友人を待ちながら、ケーキばかりでなくパンも売ってくれればいいのに、と先ほどのパンを思い出します。

   久々の普通の「量」のランチを終え、今度また絶対にパンを食べにハイナーに来ようと思いながら、ウィーンのカフェの職人の底力というか、質の高さに感心しながら次の目的地、美術史美術館に向かうべく、地下鉄の駅へ向いました。


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