◇ ホテルの部屋から見た風景です ◇

・ウィーン旅行記 2004 vol.25・

〜 シュタイラーエッグへ 〜

2004年11月05日


 遂に「ウィーンで遊ぶ日々」も今日が実質的な最終日となりました。今日の予定 は、ウィーンで評判のレストラン、「シュタイラーエッグ」でランチ、そしてミュージカル「エリザベート」です。食と舞台の贅沢三昧な日々の最後を飾るに相応しいラインナップです。

 今日はランチとミュージカル以外特に予定はないので、いつもよりゆっくり起床。昨夜はオペラの後、ケルントナー通りで10時を過ぎても開いている店を探し、結局イタリアンをチョイス。壁画が派手な、でも店内は人が少なくて寂れており、ウェイターもぽつんと佇んでいる、でもしっかり深夜特別料金は取られるという、生きてるのか死んでるのか分からないような店で(笑)、さしておいしくもなければ、食べられないほどまずくもない、でも平均点以下という「夜食」をとりました。

 身支度を整えていつものように朝食を取るべく食堂へ。いつもと変わらぬ食材が並んでいます。後少しでこのアプリコットジャムともお別れか・・・とか、このパンもしばらくは食べられなくなるな・・・と思うと食べ進んでしまいそうになりますが!今日はウィーンでも有名なレストランでのランチが控えていますから、ごくごく少量の朝食で切り上げます。

 部屋に戻り帰りの用意を少ししながら、今日の予定を確認していざ出発。今日の 目的地へのアクセスは、地下鉄ではなく路面電車。国立歌劇場まで歩いて行きリングを一周している路面電車に乗り途中でN号線に乗り換えです。が、この路面電車、いまいち分かりにくいのです。まず、日本のガイドブックにはっきりと路線図が出ていない・・・という訳で、把握するのが難しくその昔、ヴェルベデーレから路面電車に飛び乗り、飛び降りた記憶があります(苦笑)
 地下鉄と違い、私にとってはどこに行くのか何故か分かりにくいのです。バスみたいな感じといいましょうか。恐らく色々な方面へ伸びていく路線がたくさん有るからだと思います。

 さて、ウィーンの中でも話題らしい高級レストラン、シュタイラーエッグ。既にネットで予約済みです。HPやガイドブックで見る限り、ウィーンでも5本の指に入る名店という感じ。最後を飾るに相応しいレストランのはずです。

 時間に余裕を持って路面電車に乗りこみ、乗り換えの駅までは至極順調に経過。がしかし!乗り換えの駅で、複数の路面ホームで急に分けが分からなくなってしまいました。
N号線といっても、ここは途中の駅で始発ではありませんから、方向を間違えると、恐らくとんでもない事になってしまいそうです。
 目指す駅をホームにある案内板で確認しているうちに、どんどん路面電車はやってくるし、同じホームに居てもどうも表記の違う電車が来ては去っていくしで、すっかり混乱。しかも、Nの表記があるホームが複数あって・・・ま、まずい・・・ウィーンに着いてからといもの、地図も必要ないぐらいにこの街に溶けこんでいたのに・・・
 と、ここでNの表示を出した電車が到着。目指す駅、「レーベンガッセ」を頭に置いて案内板をざっと見て、これだ!と思い二人で漸く乗りこみます。まだ予約時間まで少し時間があるから大丈夫。良かった良かったと言いながら空いた椅子に座ります。

 さて、リング以外の路面電車に乗ったのは、ウィーンの森以来。狭い車両が進む先は、びっくりするぐらい普通の道、普通の町。こんな狭いところも通るんだと驚くばかりの道が続きます。バス度数(何だそれ。笑)めちゃくちゃ高いです!普通の車と張り合ってるというか、これ完全なるバスじゃないですか?!

 という感じでひたすら突き進み、漸く目的地だと思われる駅に到着。二人そろって下車。さて、レストランへの地図を取り出しますが・・・
「あれ?何か地図おかしくない?」
我々が立っているのは横T字の交差点。右に見えるのは、コンテナー。そして行き交う車。古い雑居ビル。言うなれば、随分場末な感じなんですけど・・・

「えーっと。こっちかな?」
と、とりあえずビルのある方に歩きだします。しかし現れたのは、コカコーラの看板が出た飾り気のないカフェだけ。歩いても、歩いてもそれらしき店は見つからず、しかも、どう考えてもここに高級レストランがあるとは思えない!ぐらい、砂ボコリにまみれた街なのです。。。

 地図がおかしいんじゃなくて、もしかして私たちがおかしい?と、早目に気づいてしかるべき事に脳が反応するまで、結構な時間を要してしまいました。ああ、恐るべし、方向オンチ…(涙)

 電車を下りた場所に戻り、もう一度戻ります。戻ります・・・って戻ったはいいけど、どうすればここから抜け出せるのか、どうすればレストランに辿り着けるのかが、分からない!!
ああ、最後の最後で迷子です。やってしまいました。しかも、心細くなるような訳のわからない場所で!
 あ〜どうしよう。タクシーが走ってるでもないし、今自分たちがどこに居るのか が、そもそも分からない!!ピンチ。ピンチです。行き交う車は飛ばしてるし、道を尋ねようにも人は歩いてないし。と、ここでバス停のような小さな駅に目をやると、黒い肌の男性が一人電車を待っていました。アフリカンというより、ラテン系?小太りの中背のおじさんです。

「どうしよう。英語通じるかな」
「聞いてみる?」
「行ってみようか。だって、自分たちが何処にいるのか、今全然分からないんだも の」
人間迷子になってみないと分かりませんが、自分たちが今どこに居るのか全く分からない事ほど、手の尽くし様がないことはありません。

という訳で、意を決して我々は「地元の人とおぼしき南米人」(いつものように、勝手に命名)に近づいて行きました。

「すみません」
もうここは、下手にドイツ語では後々困るので英語です。
「道に迷っちゃったんです。スタイラーエッグという所行きたいんですけど、ここどこですか?」
すると、南米人なおじさんは南米人だけに(おいおい)英語を理解してくれて、地図を持って凝視しはじめました。
「今居るここは、地図には載ってないよ。この辺になると思う」
と、彼が指差したのは、コピー用紙の地図のずーっと外の空中・・・やっぱり。
「あ、あの、ここ、レーベンガッセじゃないんでしょうか?」
「違うよ。電車で来たんだろ?もう一度同じ所に戻って、そこで乗り換えだよ。あの場所から乗って」
と、バス停サイズの路面電車駅を指差します。
「ありがとうございます」
と、ここで時計を見ると予約時間まで後10分ぐらい。
「ま、まずい・・・遅れる。遅れるね」
そして改めて自分達が下りた駅の名前を見ると、私達が目指すレーベンガッセが「L」で始まるところ、この駅は「R」で始まっていました。しかも、綴りが似ている・・・完璧に私のミスです。

「でもとにかく、道を聞いて良かったね」
という事で、今来た道を真っ直ぐに戻ることに。またまたどう考えても電車が通る道じゃないだろうという細い道を通り振り出しへ。
 到着した路面電車用ホームが複数重なっているややこしい駅で、再び悩める時間が到来。でも今度こそ間違えられません。路面電車の駅横のブースに居る切符販売のおばさんに確認し(最初からそうすべきです!)来た電車の運転手のおじさんにも確認した上で乗りこみ、『ウィーンを分かった気になってました、奢ってました。すみませんっ!』と反省モードになった私は、ちまっと路面電車の木の椅子に腰掛けました。
 それにしても、ああ、良かった。どうにかなりました。コンテナーが出現した時には相当まずい場所に来ちゃったかと思い、本当に焦りました。だって、観光地からかけ離れてるだけに、ガイドブックの地図「外」だったんですから。怖過ぎです。

   さて、路線は変われど路面電車。細い道を、ビルの谷間をすり抜け、すり抜けて進んで行きます。今度こそ間違えないようにしなきゃ。乗り越さないようにしなきゃとドキドキしながら運転手のおじさんの背後から見える街をかぶりつきで見ます(笑)
 ドイツ語だけにわかりにくい駅名に神経を集中させていると、運転手のおじさんの方から話しかけてくれました。
「次の駅だよ」
と。更に、
「降りたら、左方向に進むとあるよ」
と、何故かレストラン名を告げた分けでもないのに!お店の方向まで教えてくれる じゃありませんか!!どうやらこの電車に乗る観光客はそのお店が目的な人が多いようです。いよいよ到着し、お礼を言いながら下車。教えてくれた方向に進むと、ありました。
ようやくです。思わぬところで落とし穴だった、シュタイラーエッグが現れました。


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