〜ミノリーテン教会〜フェルステル宮〜リング〜
2004年11月01日
オーストリアの11月1日は万聖節で祝日。という事で日曜祝日、この国のお店は基本的にみんなお休み。更に、月曜日は美術館もお休みという事で、今日はもう寺院とカフェぐらいしか開いているところはありません。
初日は時差ぼけもしているので近間をうろうろが賢明だろうという考えのもと、立てた予定は寺院巡り。絶対に行こうと思っていたカフェ、デーメルとツェントラルの周囲には3つの教会があるので、初日はその組み合わせを楽しむことに。
まず最初はデーメルと王宮に一番近いミヒャエル教会へ。中では、ミサをやっています。そっと入って耳を傾けるものの、ドイツ語のお説教は全くわからず。日ごろは拝観料に4ユーロ取られるとガイドブックに書いてあったのですが、今日が特別なのかとにかく出入り自由。ミサ中だけに余り色々見ることは出来ず、早々に外に出ました。
出口を出て教会の外壁を辿っていくと、ありました。予想した通り、キリストの立体壁画です。最初にウィーンを訪れた時、王宮を散策していて道に迷ったかもしれないと思いながら入りこんだ小道で、突然この壁画が出てきた時には、ウィーンって、変な街〜と思ったものです。
今となっては、それが教会の壁だったとわかっているので、それほど奇異な感じはないのですが、当時はちょっと道に迷ったら、いきなりキリストが出た!のでびっくりしました。しかも壁画の横も向かいも普通に小売り店だし。
という「いきなりキリスト」な立体壁画の存在確認が終わり、あの不思議体験はやっぱり夢じゃなかったんだとか、教会の壁だからあったんだとか、色々な事が混ざり合って、何故かほっとしてしまいました。
今度は王宮エリアを抜けて、ミノリーテン教会に向かいます。ここにはレオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」のレプリカがあるという事で、まあミラノで実物を見た私としては、さほど期待はしていないのですが、でも一応これまた確認しておこうと足を運びます。
頭の中にあるウィーンの地図を頼りに歩いていくと、何と教会がちゃんと登場!(笑)方向オンチの私としては画期的!というか、私は日本では迷うのに、海外では迷わない。おかしいなぁ。。。
しかも、その後も勘で歩いてウィーンでは外れ知らずだったのです!この後金曜日に起こる、ある事件(?)を除いては。
迷わず辿り着いた教会を思わず写真撮影した後、教会前にある地下鉄のトイレで、久々に「便座のない便器だけの洋式トイレ」と遭遇し(イタリアではホテル、レストラン以外のトイレは全部この便座無しでした。未だイタリア人がどうやってこのトイレを使っているのかは謎!誰か教えてください。空気椅子状態使用なのでしょうか?!)
妙な懐かしさを覚えた上で、いよいよ「最後の晩餐」な教会内部へ。(今思えば、「最後の晩餐」の前にイタリア気分を出してもらおうウィーンの演出があのトイレだったのか?!笑)
教会内部は非常に静かというより、準備中という雰囲気で、私達を含め5人ぐらいの観光客と、椅子が横一列10席ぐらい連なった木製の可動式椅子をひたすら動かして組み直している教会スタッフらしき人が居るだけ。大きな音をさせながら、普段着姿の男性が、祭壇に向かって横並びの椅子列(またしても勝手に命名)をどんどん祭壇と向い合せになるように運んでいました。
準備中だから許されたのか、初めから許されているのか定かではありませんが、ここでも写真撮影はOKな様子。オリジナルと比べること既に間違えな(笑)とってもカラフルではっきりくっきり、少々安っぽい(失礼!)最後の晩餐もしっかり写真に撮り、美しいステンドグラスも写真におさめてから、椅子を動かす音が高い天井に響いている教会を後にしました。
次なる目的地はフェルステル宮。そして企画展をするクンストフォールム。フェルステル宮はかつて宮殿だったのでしょうが、今は有名なカフェ・ツェントラルがその一部に入っており、その他アンティークや絵画、アクセサリーなどを扱う店が並んでいます。ロンドンでいうところの、バーリントンアーケード(F&M本店の向かい)のような感じです。
デーメルでお茶をしてから、さほど時間は経っていないので、ツェントラルは後で寄ることにして、とりあえずフェルステル宮のほかのエリアへ移動。しかし、当然のことながら祝日なので開いてるお店はほとんどなく、開いていたのはチョコレート屋さん、カフェ、画廊ぐらい。それでも、ウィンドショッピングを楽しむには充分な美しさです。そもそも建物自体が美しいのです。
壁、天井は彫刻で彩られ、回廊の奥には彫刻が置かれています。歴史ある建物が鑑賞用になるのではなく、今も実際に使われているのが、いかにもヨーロッパ流。
フェルステル宮の回廊を抜けると、ツェントラルのテイクアウト専門の出店が正面にありましたが、ここもやはり今日はお休みです。
通りぬけたフェルステル宮をもう一度通って、クンストフォールムに抜けます。今行われているのは現代アートの展示。金色を使ったちょっと奇抜な外観に目をひかれながら、現代アートはあえて見なくてもいいかという事でそのままスルー。とりあえず、今日は閉まっているとガイドブックに出ていたヴォティーフ教会を眺めに行こうと、リング方面に歩き出します。
リングに出ると、今までの小道の連なった「静」の世界から、自動車が行き交う「 雑多」な世界に引き戻されます。異空間から、急に現代に連れ戻されたような気がします。
遠目で背の高い二つの塔が連なったヴォティーフ教会を見ます。さて、これでツェントラル以外の予定が終わってしまいました。どうしようかと話しているうちに、思いついたのはリング一周ツアー。
ガイドブックには良く、ウィーンを訪れたら真っ先にリング一周の路面電車に乗るのがいいと書かれています。しかし、我々は過去2回の旅行において、いつもせかせか歩きまわってばかりで、各駅停車でゆっくり進む路面電車に目もくれていませんでした。
結構歩いたし、時間もあるし、これは座ってぐるっと一周も出来る路面電車ツアーしかないでしょう!という事で、環状線になっている市電の1をチョイス。(2も環 状線ですが、それ以外は結構乗ったらとんでもない所に着いてしまったりします)もちろん、今朝買った1週間定期が使えます。
乗ると決めてから数分後。市電「1」がやって来ました。
3両連結の赤と白でペイントされた、東京でいう都電です。運転手さんが居るのは先頭車両だけのワンマン電車。一般的な古いタイプの市電には、各車両の前と後ろにバスみたいな扉があり、そこからステップを上がって乗りこみます。狭い社内には一人がけと二人がけの木製の椅子が左右に供えつけられています。そして、各車両にはちゃんと青い箱が。
これ実は自動改札なのですが、日本のみたいに切符なしで入ろうとするとバターン!と噛みつくように閉まるような代物ではなく、鳥の巣箱みたいな青い鉄製の箱が小さな郵便ポストのように立っているだけ。お客さんはこの箱に自分の切符を指しこみ、今日の日時をスタンプしてもらいます。その切符の検察に来たためしは一度もなく。
そして、面白いことにウィーンの電車は定額料金で、一方向に進んでいる限りバス、地下鉄、市電と乗り継いでも1枚の切符でOKなのです。つくづく性善説な国だと思う一面です。
ガラガラの社内に乗り込み、窓から外を眺めます。一周約30分。これは市役所、教会、郵便局、ウィーン大学、インペリアルホテル、オペラ座、美術史美術館、自然史博物館など、とにかく美しくもばらばらな時代設定の建築物が次々と登場する楽しいツアーです。
歩き疲れた足を休ませることが出来、ウィーンという街がざっくりわかるという実にお薦めコースな常設ミニツアー(普通の電車ですから)。
結局30分ではなく40分ぐらいかかったツアーが終わる頃には、もう一周してもいいという気分になるぐらい楽しい体験でした。
夜のオペラもあるのでそろそろツェントラルにという事で、とりあえず乗車した駅で下車。途中焼き栗屋さんにひかれながら、フェルステル宮へ戻りました。
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