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・ウィーン旅行記 2004 vol.30・

〜ミュージカル『エリザベート』3〜

2004年11月05日


 エリザベートとフランツ=ヨーゼフ、そしてトートの三角関係に、姑との闘いと、こう書くだけでもドロドロな人間関係というのが一目瞭然な物語が、美しい音楽と場面で展開されていきます。更に、この物語は当然の事ながら、社会情勢も描いていくのです。なにせ、エリザベートを語る上で、この時代の空気、情勢は避けて通れない事ですから。

 皇帝の出陣。そして、黙々とカフェで新聞を読む人たち。自分の息子を義母に取り上げられてしまう悲劇の母、エリザベート。そしてトートの存在は、その登場から変わる事なく死の影をこの物語全体に落としています。エリザベートと皇帝はいう迄もなくすれ違い、そんな大人達に巻き込まれていく皇太子ルドルフ。この皇帝とエリザベートの関係も、非常に切ない。妻を崇拝するほど愛しているのに、その思いが彼女に届かない皇帝を見ながら、シェーンブルン宮殿の音声ガイドで聞いたいかに皇帝が彼女を愛していたのかを思い出し、さらに胸が痛みます。
 さて、義母に負けてばかりはいられないと思い立ったエリザベート。彼女は闘い、そして遂には義母ソフィーに勝利し、息子を取り戻し、トートからも独立しようと考えるようになります。

 これで事態は好転するかと思いきや、今度は社会情勢が不安定に。市場に全くミルクが無いと嘆く人々に、それはエリザベートが全て入浴に使ってしまったからだと民衆を煽るルキーニ。このシーン、パンが無いと嘆く民衆に、それじゃあケーキを食べれば?と言ったと言われるマリー・アントワネットをちょっと連想させられる展開です。

 さて、ここで有名な美容マニアなエリザベートの一面が描かれます。私もこの目で見た、宮殿に残る吊り輪などの体操道具もここで登場。「皇后陛下は体操がお好き」という歌まで歌われます。親権を取り戻したのに、自分に夢中に見えるエリザベート。そして相変わらず妻を崇拝するかのように扱う皇帝。そして、あっという間に休憩に入りました。

 いや〜、面白い。ウィーン最後の日、打ち上げ的なこの時にこの作品を選んで、やっぱり良かった!と友達とひとしきり沸きながらボックス席を後にトイレへ。

 どこの劇場もやはり女性トイレは行列が出来ています。とここで、後ろに並んでいた人から何故か声をかけられる私。しかも、例のごとく、まったく知らない人です(笑)
「あら、あなた!」
「えっ?」
と振り向く私。
「あなた、私と同じホテルに泊っているわよね?今日あなたをカフェで見かけたわ」
「えっ?私ですか?」
と、英語で話しかけられ困惑中の私・・・
「○○○に泊ってるでしょ?」
「え?私が泊ってるのは、ノイヤーマルクトですけど」
「えっ?!違う?まあ、あなたにそっくりな人を見たから。あら、ごめんなさいね」
えっ?!私にそっくりな人?しかも、ウィーンで?日頃日本でもなかなかお目にかかえれないそっくりさんが、このウィーンに????しかも見かけたぐらいで声をかけてしまうほど、フレンドリーなホテルのゲスト達なの???(笑)
「本当、ごめんなさいね」
と言われているうちに、順番がきたのでにこにこっと笑ってさよならになりましたが、このそっくりさん出没@ウィーンって、ちょっと気になるなぁ・・・珍しいパターンですよね。一体その人は何人なんでしょうか。

 さて、まだまだ休憩時間はあるのでパンフレットを買いに1階へ。狭い階段を下りて行くと、思った通り人でごった返しています。TシャツやCDもあるな〜と思いながら、パンフレットのみを購入。青い表紙はAMPの白鳥カラーです。
 まず一枚目は怖い顔のエリザベートとトートの写真。やっぱり怖い顔のシシィがメインなんですよね。やっぱりね。そして当然ながらドイツ語の文字が延々に続く・・・私、大学で2年間勉強したはずなんですけどね。ふふふ。読めません。くっ。
 そして、ぱらぱらとめくると、何が凄いって、一路真輝&内野トートの写真が登場するんです!!!そして、ここからは多分世界中のシシィ&トートですかね。色々なパターンの二人の写真が登場。で、これまたびっくり。宝塚版もしっかり出て来るんです!
 何といってもインパクトがあるのは「ミュージカル エリザベート」とカタカナが踊って、1P分しっかり写真の日本版の紹介。中央一路さんのエリザベートで、バックが山口&内野トートのアップって、これ結構メジャーなポスターでしたよね?これがウィーンで発売されているパンフレットにしっかりカラーで1P掲載されています。東宝の文字もしっかり漢字で出てるんですよ!凄いですね(笑)

 とまあ、こんな所で一路さん!(知り合いか?笑)と、ちょっと笑いながらページをめくっていくと、後はまあ、ウィーン版の写真が続く訳ですが、最後の方は何故かウィーンの地下鉄マップが。そして、一番後ろにはグッズカタログが。キャップ、Tシャツ、キーホルダー、ミラー、マグ、傘、メモ、ライター、マウスパット、そしてこれは謎なんですけどハサミ、ピンセット、爪切り、やすり?みたいな金物セット(笑)が。国が違うとちょっと変わった物がグッズで出るもんなんですね。

 買い物も済んだし、そろそろ席に戻る?という事で、再び狭い階段をのぼりボックス席へ。まだ場内はがやがやと人が動きまわって舞台が始まる気配はありません。とここで、隣の席の女の子に話しかけてみようかと思いたち、早速英語でチャレンジ。茶色い髪を三つ編みにして、眼鏡をかけた、ちょっと大人しそうにも見えるかわいらしい女の子です。
「こんばんは」
とにっこりしてみると、彼女もにっこり答えてくれます。
「一人で来ているの?」
「ええ」
「学生さんよね?」
「ええ」
「歳を聞いてもいいかしら」
「16歳です」
「私達は日本から来たの。エリザベート、凄く楽しいわね」
と、互いに幸せな顔で頷きあいます。そして観劇中も熱心だった彼女にこんな質問をしてみます。
「良く見にくるの?」
「今日で2回目なんです」
と、ここでキャスト表を出して質問。
「今日のエリザベートとトートって、この人よね?」
「ええ、そうだと思う・・・そう、この人たち」
と、二人写真を確認しながら頷きあいます。とここで、
「あなたはトートが好きなの?」
女の子だし、トートはアイドル並の人気だったので、思わずこんな質問をしてしまいます。
「ええ、でも、エリザベートが好き。前回初めて見てこの作品が好きになって、今日また来たの」
と、ここでいよいよ後半の始まる合図が。お互い暗黙の了解のように微笑みあってから、明かりが落ちていく劇場にちょっとドキドキしながら、舞台の方向に椅子を動かして(ボックスは普通の椅子で可動式です)スタンバイに入りました。

 エリザベートのその後が今、語られます。


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