Vol.2

<ACT ONE>

THE BLACKOUT

ドアの外に出たシンデレラは、その不穏な雰囲気に驚く。街を行き交う人々はガスマスクを着け、足早に歩いている。怖気付きながらも先ほどのパイロットを探すべく歩き始めるシンデレラ。
しかし暗い人込みの中、シンデレラとハリー(パイロット)は擦れ違ってしまう。恐怖と暴力に支配された街をシンデラはさまよい歩く。その時遂に空襲が始まる。彼女は逃げ惑い、もと来た道を帰ってどうにか家に辿り着く。しかしいくら押しても引いても玄関のドアは開かない。必死でドアノブを回し、ドアを叩くがびくともしない。
危険はすぐそこまで来ている。振り返って空を見上げ、彼女は背中を出来る限りドアに押し付けた。恐怖にシンデレラの顔がゆがむ。そして次の瞬間彼女は・・・・・・・

・・・暗転・・・

そこは静かな三日月の美しい空。大きな月の周りには星がきらめいている。その光を浴びて踊るパイロットの姿をした白ずくめの人々。
そこにエンジェルに導かれたシンデレラが現れる。彼女も他のパイロットと同じ帽子とメガネを頭につけているが、彼女だけ真っ白いロングコートを着ている。彼女の顔に先ほどまでの恐怖は全くない。エンジェルとともにパイロット達に混ざって彼女も楽しげに踊りだす。いつのまにかエンジェルは姿を消しているが、シンデレラは気づかない。
そこへエンジェルが白いバイクに乗って登場。シンデレラはバイクに付けられたサイドカーにためらいも無くひらりと飛び乗る。彼らの目指す所は何処なのか。今、バイクが発進した。

<ACT TWO>

THE STARIGHT ROOMS A DANCE HALL-NEW YEAR'S EVE

・・・爆発音が響く・・・

青いドレスを来た女性が一人舞台の中央に倒れている。彼女は抜け落ちた天井の梁とミラーボールの下敷きになっているのだ。
その周りには彼女を取り囲む様に青い軍服を着た男性5人と、中央の女性と同じ格好をしている女性4人が倒れている。このダンスホールは空襲による爆撃を受けてしまったのだ。

死の匂いに満ちたこの空間にただ一人佇んでいる人間がいる。体全体が白く発色している現実味のないその人物は、エンジェル。彼は倒れているブルーカップル達を眺めた後、ホールの片隅に置かれているアップライトピアノに向かった。そして、彼が鍵盤に向かって手を降ろした途端、時間は逆戻りを初めるのである。

天井は元通りになり、5組のブルーカップル達は息を吹き返した。エンジェルは静かに姿を消し、音楽に合わせてカップル達は何事も無かったかのように楽しげに踊りだす。
彼らのダンスが終わった時、場違いな一団がフロアーへ通じる長い階段から降りて来た。シンデレラの家族達である。
ブルーカップル達はいぶかしげに彼らを見るが、彼らは自分たちが場違いである事に気が付かないし、気にもかけない。
急にダンスホールは賑やかくなる。そこに、遅れて酩酊状態の母親が一人、グラスを片手に足元をふらつかせながら階段を降りて来る。ホールに居る全員が無事フロアーに辿り着けるだろうかと心配して見守る中、彼女は足を滑らせながらも怪我する事無く自分の家族の元へ辿り着く。
そして、家族以上にその場の雰囲気を気にせず、自分の好きなスタイルのダンスを踊るようにと家族全員に命令し、自分も踊り始める。

家族がダンスホールに着いてしばらくした時、突然ダンスホールにファンファーレが鳴り響いた。ホールに居る全員はヒーローの登場だと思い、期待に胸を膨らませて拍手をしながら階段の下に集まりヒーローの登場を待ちわびる。

しかし現れたのは、トイレ帰りでズボンのチャックを上げながら歩いて来た義理の姉のボーイフレンドの一人。全員落胆して階段から離れる。
すると再びファンファーレが。今度こそヒーローの登場だと期待し、再び階段の下に人々が集まる。そして、遂に皆の待ちわびていたヒーロー達が登場した。

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