イタリア旅行記  〜ベニス・観光編〜  

<6/26夕方>

再びサンマルコ広場に出て、この広場の名前の由来であるサンマルコ寺院へ。

寺院外部には一見油絵のように見えるキリストの絵が描かれていましたが、これは全てモザイクでした。
この時既に時刻は4時頃だったのですが、何と寺院入口には水が出ていました。入場する為の列に並んでいるうちに、水は小さな水溜まりからおおきなそれへと変化し、私たちが入り口に辿り着く頃には、避けて通れない程になっていました。

この季節にサンマルコ広場周辺が水浸しになる事はめったにないそうなのですが、数日前には季節外れの洪水のような満潮があったという事でした。
その日はそれほどひどくはなかったのですが、早速寺院の人達は広場に橋(木製の日本で言う縁台のようなもの)を掛け始めました。
広範囲に水が出ているのでまたいで通る事も出来ず、仕方なく全員濡れながら寺院内部へ。

寺院内部はそれはもう言葉に言い表せない程、光り輝く黄金で埋め尽くされていました。(といってもキンピカという事はなく、落ち着いた金色でした)
ガイドによるとこの黄金で埋め尽くされた壁と天井の絵は全てベニチアングラスのモザイクで、この金色はガラスに金を貼ったものだそうです。

広い寺院内部は全てがこの調子で、その光景は圧巻でした。しかも床は全て大理石。
時々水浸しになるせいで床は隆起している所があちこちに見られましたが、修復されることもなく、そのままの状態で放置されていました。
でも、こんなに地盤があやふやなのにしっかり建っている寺院って、ちょっと不思議でした。危なくないんでしょうか?

2階に上がりたいなと思いつつ外へ。 一応観光はこれで終わり、次はショッピングに連れていかれました。

サンマルコ寺院の裏の道を歩く事1分。小さな橋を渡ったところに、そのガラス工房はありました。

促されるまま実演が見られる部屋へ。ガラスのかまどの前には職人のおじさんと販売員(イタリア人)の男性がいました。この人、ものすごく日本語がうまいんですよ。見た目は完全にイタリア人なんですが、ほとんどなまりもありません。

「皆さま、よくおいで下さいました」と流暢な日本語でベネチアングラスの説明を始めました。その隣で黙々とガラス製品を作る職人さん。
この間TVでベニスの旅行番組を見た時には、美しい馬を作る実演をしていたので、ちょっとわくわくしながら見ていると、何だか様子が違う・・・・
「これは何になるでしょうか。お分かりになる方?」と販売員がいう隣で作業はどんどん進んでいきます。
「イルカ」とか「鳥」とか色々言っているうちに、ますます馬からは遠ざかっていくガラス・・・・出来上がったものは何と「かたつむり」でした。何て簡単なものを作ってくれたんでしょう。(笑)

「それでは上の部屋で製品の販売をしていますので、皆さん移動して下さい」とまたまた促されて階段を昇る私たち。

売り場に入るとそこはベネチアングラスのシャンデリアがこれでもか、これでもかと吊るされた部屋でした。
そして、部屋に入ると何故かその部屋のドアが締められました。う〜む・・・・怪しいと思いつつ、また促されるままにテーブルを囲む様に立つように言われ、言われるがままになる素直な私たち。

この部屋には販売員が5、6人いました。そして、先ほどとは違う人(30代後半ぐらいのイタリア人男性)がテーブルに居て、説明を始めました。
「皆さん、もっと側に来て下さい。怖がらないで」
何故ベニスの人はこんなにも日本語が流暢なんだーっ!とまたまた度肝をぬかれました。
「はい、これから説明する商品は、全部本当のベネチアングラスです。街の中を皆さんもう歩いてこられたと思いますが、その中には偽物を売っているお店もたくさんあるのです。でも、安心して下さい。ここの商品は本物で、保証もついています。さて、このセットは先日ティファニーでも売られたもので、大変価値のあるものです」
と言って差し出したのは赤いガラスに金の持ち手と装飾が施され、花が描かれた水差しとグラス(5コ)のセットでした。一言で言うなら、「成り金商品」っていうところでしょうか。

「これはベニスの伝統的な商品です。本物の金を使用していますので、全く剥げる事も色あせする事もありません。しかも固いです!」
と言ってそのグラスをテーブルに置いてあった鏡に叩きつけました。当然の事ながら驚きの声を上げる私たち。
「ほら、壊れません!」
何だかたたき売りっぽくなってきたなと思いつつ説明を真ん前で聞く私。
「これを今回セットで35万円でどうでしょうか。でも、このお盆はついてません」
それを聞いた途端「誰が買うの?」と思ったのは言うまでもありません。

「梱包はお任せ下さい。私たちはプロです。それに、東京の事務所もありますので、何かがあった場合にはそこに連絡して下さい」
と言ってそのセットが入ったダンボールをわざと床に落としました。
「ほら、何ともありません。お客様がお持ち帰りになっても大丈夫ですが、発送も致します」
う〜む・・・・と思いつつ入った時に手渡されたミネラルウォーターを飲みながら更に続く説明を聞きました。

「さて、これは日本の皆さまの為に作った商品です」
先ほどの商品より小振りの水差しとナツメ型のコップが出てきました。
「これは、麦茶にも最適です。しかも、コップは起き上がりコボシにしても遊べます!」
そう言ってコップをテーブルの上で転がし始めました。確かにそれが、起き上がるんですよ。それにしても、何処でそんな言葉を覚えるの?と思いつつ説明を聞く私。
「冷酒にもどうですか?これで12万円です」
麦茶に12万?と思っていると、またまた次の商品が出てきました。
「これはペアのワイングラスです。カップルの人向けです。如何ですか?」
これで一応説明が一段落したので、他の商品を見るべく、皆ぶらぶらしはじめました。

しかし何処を見ても、きんきらしているんですよ。別の部屋はどうだろうと思い、ドアを開けて(鍵はかかっていませんでした)他の部屋へ。

でも何処に行っても結構いい値段で、しかもきんきら。更に私を警戒させる事がありました。円でもリラでもドルでも買えるんですが、USドルと日本円のレートがあまりにも違うんですよ。凄い円安なんです。これはおかしいと思い、ここでは購入せず、店を出ました。

元来た小さな橋に出ると、そこにはツアコンが立っていました。隣のお店でベネチアンレースの実演販売をしているよと教えられ、そちらに二人で移動。

今度はおばさんがレースを編んでいました。でも、そのお店でも何も買わずに出ていく私たち。

集合時間と場所を確認していよいよ二人でベニスの街へ。1時間位の自由行動だったので、サンマルコ広場周辺のお店を見て回る事にしました。

ガラスとレースのお店が主流のベニス。途中何度もガラスに目をとられながら、ただひたすらに歩いていると、雨が降りだしました。サンマルコ広場を囲む建物の一階にあるお店を見て歩いていたので、雨の被害はなかったのですが、結構強い雨が降ってきました。

途中日本人に
「すみません。写真を撮って頂けませんか?」
と声を掛けられました。見ると20代ぐらいの男性で、その後ろにその人の両親らしき人が既にポーズをとって待っていました。
雨が降っていたので、屋根のついたこの場所は人の往来が激しく、なかなかシャッターチャンスが訪れなかったのですが、どうにか撮ってカメラを渡しました。
お礼を言われながら、この人、ずっと日本人が通るのを待ち構えていたんだろうなと思う。

しばらく歩いていると、この雨の中、メゲずにサンマルコ広場に立って写真を撮っている白人の親子連れを発見。親は傘をさしているのですが、小さな男の子は雨に濡れていて、嫌がっていました。それでも、カメラの方を見なさいというお母さん。子供はびしょ濡れになっている事を知らないんだろうか?と思いつつ通り過ぎる。

途中私は漸くハンカチのお土産を買い(このお店のおじさんは、一緒に日本語で数を数えてくれました)ちょっと一安心。

再びお店を見て回るものの、かなり疲れて来た私たち。とりあえずジェラートでもという事になり、スタンドでレモン味のジェラート2スクープ(と言っても大サジ1杯が1スクープぐらい)を1500リラで購入。

「良く降るね」と言いながら食べていると、女の子(姉)と男の子(弟)とお母さんのイタリア人の一行がやって来ました。何気なく見ていると、4歳ぐらいの男の子と目が合ってしまいました。その瞬間、あ、まずいなと思ったのですが、案の定
「マンジャーレ〜ッッ!」(食べたい〜っ!)
と叫ばれてしまいました。でもその願いは叶えてもらえずお姉ちゃんの意見が通り、その家族はしばらくしてからサンドイッチを持って店から出てきました。

相変わらずの激しい雨の中、今夜のゴンドラは無理かもねと言いつつ集合。
予定を変更して、まず夕食に行くことになりました。再びドゥカーレ宮殿の横を通り、藁の橋を通って小さな路地へ。ピッツェリアのようなお店に入りました。

ここはどうやら日本人ガイドの人が選んだお店の様で、お店の人とツーカーで話し楽しんでいるガイドさん。いつもの様にミネラルウォーターを頼み、疲れたねとぐったりしながら料理を待ちました。そして、この日初めてイタリアの料理の量を私たちは知ることになったのです。

・上の写真は総監宮殿外壁(左)と総監宮殿中庭(中央)、サンマルコ寺院入口(右)を撮影したものです。 (著者撮影)

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