・ Japan Tour Report vol.4・


by Natsumu


 昨日と同じく池袋西口(英語で言うと、ウェストゲート・・・とくると、池袋ウェストゲートパーク、つまりはIWGP!まこっちゃんは何処〜?あの広場はどこなの〜?!と一人心の中で遊びながら。笑)を出て、池袋芸術劇場へ移動します。

 さて、今日のキャストは誰なのか。ウィルのサイトによると、今日もウィル・ケンプのはずです。しかし、何が起こるか分からないのがこのカンパニー。もしかすると、別キャストで観る事が出来るかもしれないと、ちょっと期待してしまいます。
 今日はマシューのトークショーがあるという事で、足取りも軽く中ホールへのエスカレーターに。しかし、そこに待っていたのは、マシューからのメッセージでした。

 家族の急病で急遽ロンドンに帰る事になったとの貼紙が。本当にごめんなさいという謝罪の言葉を読みながら、それよりもマシューの事が心配になります。そして、身内というのが気になります。誰なのかしら、大丈夫なのかしらと。家族に何かあった時、その知らせを聞いてから会えるまで10時間以上かかってしまうというのは非常に辛い事です。飛行機の中で焦る気持ちを抱えながら帰国していったであろうマシューの事を思うと、非常に心が痛みました。

 入り口ではマシューからのお詫びのポストカードが配られていました。こんな時にもファンに対する心遣いを忘れないマシューに驚きながら、と同時に彼らしさを感じながら昨日と同じ劇場に入ります。

 早速向かったのはキャスティングボード。まずはジェームズ役をチェックすると、ウィルではなくジェームズ・リーズの名前が。そして、シルフには『くるみ割り』から注目株のノイ・トルマーの文字が。昨日とは違うキャストです。
ノイといえば、前回の『くるみ割り』でエタ・マーフィットが絶賛していた期待の新人だけに、その成長ぶりが見たいところだったので、願ったり叶ったりです。
 せっかく2回観るのなら、別キャストで見てみたい。その希望が期せずして叶い2回目とはいえ新鮮な気持ちで開演を待ちます。

 さて、当たり前ですが昨日と同じセットが既に組まれています。座席は昨日と同じ列の少し左寄り。センターとはまた少し違うアングルで新鮮です。
 BGMに流れていたスコティッシュな音楽が途切れ、いよいよ物語が始まります。 トイレになだれ込んで来たジェームズ。今日のジェームズはウィルよりも表情の演技は乏しく顔を見て一発でらりってると分かる目つきではありませんが、体全体が発している情報は非常に饒舌。ダメ男でやるせない感じが良く出ていて、するっと心の中に入り込んで来ました。そして何よりも、昨日と違ってセットが小さく見えない。というか、動きと空間の縮尺が合っている感じがします。空間をたっぷり使って動けているという事なのか何なのかははっきりしませんが、至極自然に空間を使って動いています。つまり、動きが途切れる事がないのです。

 マッジ役は昨日と同じく友谷真実さん。今日も魅力的ですが、真実さんに関しては、ウィルのジェームズと踊っていた時の方が生き生きと輝いていたように感じられました。ウィルは相手の魅力を引き出すのが上手いのかもしれませんね。

 さて、昨日感じていた物語の展開ですが、同じ作品かと思うほど今日は分かりやすい!昨日一度見たせいもあるのでしょうが、登場人物の心の動きが非常にクリアーに伝わってきます。キャラクター全部が浮き上がって来たというか、彼等の関係性を楽しむ事が出来るというか。
 リー・スマイクル演じるガーンの心の動きもかなり見どころですし、マッジの揺れる心も惹かれます。そして、やはりノイのシルフ。昨日のケリー・ビギンのシルフよりも子供っぽく、『真夏の夜の夢』のパックの延長線上にあるような雰囲気も持っていて、しかもどこか東洋の香りがしている。格好は「死者」なのに、とてもピュアなある種の若さが出ているという、なかなか魅力的なシルフがそこには居ました。
 ジェームズがドラッグをするとシルフが出てくるので、私の中ではすっかりシルフはドラッグの精という認識に(笑)

 ところで、他の作品との共通アイテムについてここで少し触れておきましょう。まずはテレビ。
 マシュー作品に出てくる「テレビ」とその「音」というアイテム(『PWW』ではプレンティスが見ていましたし、『DRIP』でも主人公が見ています)が本作でも登場します。
 クラブの場面の後、テレビがつきっぱなしになっているジェームズ達の部屋に場面が移ります。マシューにとってテレビという物は、『時間』の経過と、今、家の中に居るという『空間』を感じさせるアイテムなのでしょうか。何故かテレビの音が孤独に聞こえなくもないマシュー作品の中のテレビ。かかっているのが夜中だったり、明け方だったりするからなのか。

   次に、皆でする記念撮影。Car Manでは結婚式のシーンで皆で記念撮影があり、その時に証拠写真になってしまうにもかかわらず、不倫相手や禁断の恋?の相手にべったりよりかかったりなんかしながら写真のポーズをとっているところがありました。本作でも写真のポーズシーンがなかなか皆の欲望がストレートに出ていたように思います。作り笑いも笑いを引き起こしてくれます。この皆で撮る集合写真は、絶対マシューが好きなアイテムにカウントされているのだと思います。

 さて、共通点探しはこれぐらいにして話しを物語に戻しましょう。昨日から気になっていたガーンの存在です。昨日はフィリップ・ウィリンガムが演じていて、今日はリー・スマイクルが演じているこのガーンという役。ジェームズのパートナーであるエフィーに横恋慕する男です。この彼の存在が昨日から実は気になっていたのです。
 エフィーに思いを寄せるガーン。そしてジェームズが好きなマッジ。更に、マッジとガーンは時々話したり踊ったりしている。横恋慕さん同志のカップルに見えなくもないような接近度が私の中でひっかかっていたのです。

 


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