・ Japan Tour Report vol.5・


by Natsumu


 この物語の主役はジェームズ。そして彼の婚約者はエフィー。でもその友人マッジはジェームズが好きで、ガーンはエフィーが好き。二人が近々に結婚すると分かっていても、マッジもガーンも未だ諦めてはいない。

 という中にあって、私が気になっていたのはガーンの行動です。私が見た最初のガーン役はフィリップ・ウィリンガム。初めての舞台だけに、また先に書いた理由により、一日目は登場人物の関係も話しの内容も、何だかするっとは入って来なかったので断言する事は出来ないのですが、マッジとガーンの間には、協定のようなものが存在しているように見えました。つまり、協力して結婚間近のカップルの仲を裂き、互いに自分の好きな人を手に入れようという思惑を持つ仲間同士のように私には見えた訳です。

 作品の最後にエフィーを手に入れるガーンの姿を見ながら、ジェームズがこうなってしまったのは、白い蝶とシルフがイコールである事も知っているガーンが功名に仕組んだ、彼がシナリオを書いた通りの展開だったのではないだろうか。彼は自分が欲しいと思ったものを、非常に計画的に事を進めて手に入れたのではないかと、ここでふと思ってしまったのです。そう、これは本当に妄想に近い思い込み、深読みかもしれませんが(笑)

 ジェームズのドラッグ中毒の悪化を促すように、ガーンはもしかしてマッジに薬をどんどん渡すように話してる?とか、白い蝶に異常な興味を示してるジェームズにとって蝶は盲目的な存在。その蝶を窓から捨ててしまえば、ジェームズにダメージを与えるのは容易だとか色々考えて行動している、結構怖い奴がガーンなのかもしれないと。もう、勝手な解釈炸裂です(笑)
 また、それに妙な信憑性を出してしまうようなフィリップのちょっと邪悪な表情!妄想に思わぬ裏付けが着いちゃいました(笑)
 いえ、彼がチャーミングなのは良くしってますが、見方によっては悪魔的に見えなくも・・・ないと私は時折思う訳です。

 一方のマッジはただただジェームズが好きなのね、というのが伝わって来て、邪悪なものは一切感じられません。アクは強い女性ですが、駄目だと分かっていても、ジェームズが欲しがればドラッグを渡してしまう。強いようでいて、案外自分の好きな男性には弱いそうだというところが垣間見えます。駄目な男に愛想をつかすのではなく、それもひっくるめて好き、駄目な人ねと言いながら面倒を見て、言う事を聞いちゃうんだろうな、この人という感じです。

   とまあ、マッジに対する疑問はなかったのですが、とにかくガーン。このガーンがくせ者のなのか否か!これが2日目の注目点の一つでした。

 さて、2回目のガーンはキャストが変わってリー・スマイクル。彼のガーンは非常に心優しく、エフィーの事を本当に良く気づかっている様子。そう、昨日「案外計算高く、ちゃっかり上手に状況を利用して欲しいものを手に入れたのかもしれない男」説を立てた私が悪うございましたっ!!と恥じ入りながら謝りたくなるガーン(笑)でした。

 エフィーの事を思い、ジェームズの事も友人としてそれなりに配慮を持って接しているガーン。彼は無意識の内に需要な役割を担っており、次々に起こる出来事は偶然の産物。そして結果的に欲しいものが手に入った男というのが、スマイクルのガーン。
 とまあ、同じ役を演じていても、人それぞれに解釈が違い、ダンサーオリジナルのキャラクターを作りあげていくマシュー・ボーンのカンパニーだけに、ガーンの解釈に一つだけの「正解」は無いとは思います。しかし、私の妄想に近い説にすると、最後のシーンはそれはもう、まんまと騙されたジェームズとほくそ笑むガーンと何も知らない騙されたエフィー、いう事になり、話しが違って来てしまう勢いなので(笑)恐らく「善人ガーン」が本当なのでしょう。

 次々と起こる出来事、彼を翻弄しているシルフとのやり取り。その時のジェームズの表情、体から出てくる言葉を見ながら、ジェームズによるジェームズはぴったりくるなぁと思っているうちに、一幕が終わってしまいました。


・この続きは来週更新予定です・


Highland Fling Report By Natsumu Vol.1を読む

Highland Fling Report By Natsumu Vol.2を読む

Highland Fling Report By Natsumu Vol.3を読む

Highland Fling Report By Natsumu Vol.4を読む

Highland Fling Talk show Report Vol.1を読む

Highland Fling Talk show Report Vol.2を読む

HOMEに戻る

AMP &Ballet indexを見る