イタリア旅行記  〜ミラノ・ドゥオーモ編〜  

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バスで移動する事数分。その間またしても日本人ガイドさんは熱心に街の説明をし、私たちの疲れは増殖していたのでした。

漸くスフォルツェコ城に到着。中に入ると中庭に、仮設の野外劇場を作っていました。ガイドさんの話しによると、夏の間バカンスに行けない人の為にミラノではあちこちで野外コンサートが行なわれるそうです。
このお城ではオペレッタ『メリーウィドー』をするという事で、あちこちにポスターが貼られていました。夏の野外劇場で上演されるのはオペラ、バレエ、オペレッタ、オーケストラなどのコンサートとバラエティーで、なかなか充実しているようです。
日本では考えられない贅沢さにクラクラしながら、お城をつっきりあっという間に外に出ました。(ここには美術館もあるのですが、時間の関係で見学出来ませんでした)
すると少し離れた所に凱旋門があったのです。ナポレオンが作っていったというそれは、フランスのものより小振りだということでしたが、なかなか遠目にも美しいものでした。

再びバスに乗り今度はドゥオーモ周辺へ移動。バスを降りたのはかの有名なミラノ・スカラ座の横。正面ではなく側面で降ろされたので、初めはどこなのかこの建物は何なのか、全く分かりませんでした。ただ、向かいの建物が工事中かぁと思っただけで、ただただ前の人達を追いかけて歩き、横断歩道も越えてちょっとした広場に出ました。

そこでおもむろに振り返ってみると、何とそこはスカラ座だったのです!スカラ座と向かい合うかっこうで立っているレオナルド・ダ・ビンチの像の横に立ち、そこからスカラ座を見ると、何だか随分こじんまりした建物に見えました。
話しによると、ここは1943年の空襲で焼けてしまったらしく、今あるスカラ座は1946年に建て直されたものだという事でした。スカラ座の写真を撮りこれがスカラ座かとじっくり眺めていると、いつの間にか私はツアーの人達に置いていかれていました。
こんな所で迷子になっちゃ困ると慌てて追いかける私。それでもオペラ座が気になって気になって未練タラタラで後ろを見ながら走っていました。

次に現れたのはヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア。プラダ本店をはじめ、沢山のお店が並ぶアーケードです。
テレビで見たことがあるなぁと思いつつ、その美しさに目を奪われ、上を見ながら進む事数メートル。アーケードの中心でツアーの皆がかたまっていました。
十字に作られているアーケードの中心には、4枚の絵が天井付近に掛けられています。そして、中心の床には円形の絵が描かれていました。ここで片足のかかとをつけたまま回るといい事があるという事で、観光客が何人かくるくる回っていました。

イタリアでは商店街の建物まで美しい!と感動して見回していると、その中心の一等地に大きな、大きなマクドナルドが・・・・こんな所にまで進出しているなんて、やっぱりマクドは凄すぎると思いました。

再び歩いていよいよドゥオーモへ。人通りが一層増えてきました。アーケドを抜けると、そこにはドゥオーモが静かに、しかし力強く建っていました。
余りの迫力に現実感がないと思いつつ圧倒されて眺める事しばし。今まであちこちでドゥオーモを見てきましたが、ミラノのドゥオーモはまた、今までのものとは全く違った存在感でそこに建っていました。正しく絵画的。そして極めて荘厳で、威圧的。建築物としても見事としかいいようがないドゥオーモは圧巻でした。
ところが、ドゥオーモ周辺は極めて現実的な所だったのです。

凄いなぁと眺めていると、向こうの方で叫び声がしました。すると、ガイドさんがこう言ったのです。
「気をつけて下さい!今日はジプシーが多すぎる。今叫んでたでしょ?あれは絶対ジプシーに囲まれたので追い払ってたんだと思いますよ。皆さんかたまって。集団になって歩きましょう。そして、いいですか?貴重品はしっかり持って下さいよ。ほら、ドゥオモの前の階段にジプシーがあんなに座っているでしょ?日本人は特に狙われやすいですからね。いいですか、近寄って来たら大声をだして皆で追い払うんですよ。ジプシーは皆子供ですから、小さな手で簡単にすっていきますからね。」
ツアーの皆は初めての危機に「怖い」と言いつつ一塊の集団になりました。

ガイドさんの話しによると、ジプシーの男の子はだいたい新聞紙を持ってターゲットに目隠しをし、そのすきに財布などをするそうです。一方、女の子は大抵赤ん坊を抱っこしていて、すった財布を赤ん坊のおしりの下に隠します。
ジプシーは罪の軽い子供を使って稼ぐのです。その稼ぎはすさまじいらしく、多い日には一日100万円も稼ぐという事でした。そして一番カモになっているのは、言うまでもなく日本人観光客らしいのです。
去年の夏は街からジプシーが消えたそうですが、それは稼ぎが良かったので、バカンスに出ていたからという事でした。きっと被害にあった日本人の数は相当なものだったのでしょう。

「いですか、来たら大声ですよ!」と言われながらどうにかこうにかドゥオーモの中へ。

中に入るとそれはそれは見事なステンドグラスが壁中にはめ込まれていました。
まずは入って右へ移動し、ガイドの説明を聞きました。
「皆さん床を見て下さい。12星座が描いてますよね」
見ると確かに12星座が描かれていました。これは時計の役割をしているらしく、天井付近から床に向けて陽が差し込む様に設計されており、その陽が床の絵を照らし、今何時なのかを示すという事でした。昔の人の知恵って凄いと感心する私たち。

その後広い教会内部を一周して回ったのですが、とにかくステンドグラスが豪華でした。その大きさといい、色といい、精密さといい、この街の力を見せつける素晴らしいものです。どの壁にも見事なステンドグラスがはめ込まれていて、見上げるのにいい加減首が疲れて来た頃、漸く元の所に戻って来ました。

どうにかジプシーの被害に会うことなくドゥオーモ見学を終了。教会の裏から外に出ると、今度は大人のジプシーが2人いました。気を付けながら再びガイドさんの説明に耳を傾けました。

ドゥオーモのてっぺんには黄金のマリア像があるのですが、これはミラノ市民が非常に大事にしているものだそうです。
第二次世界大戦中、夜でも黄金故に輝くマリアは爆撃目標にされる恐れがあったので、ミラノの人はこの像を守るべく大きな布の袋を作ってこの像に被せたのだそうです。
そのかいあって未だに黄金のマリア像はドゥオーモの上に立っています。小さなマリア像と言われているとはいうものの、5、6Mはあるこの像がすっぽり入ってしまう袋を作るというのは、さぞかし大変だったろうと思います。

この日、ドゥオーモの色は全体にグレーだったのですが、これは昨日の雨によるもの、晴天が続いていると薄いピンク色をしているそうです。
それから、ドゥオーモの側面には豹の様な動物が壁から顔を突き出す格好でいくつも取り付けられているのですが、これは雨樋の役目をしているそうで、雨が降った時にはこの動物の口から滝の様な雨水が下に向けて落とされる仕組みになっているという事でした。
壁にいくつも取り付けられた雨樋から一斉に滝のような水が流れ落ちる。その眺めは圧巻ですよと、ガイドさんは是非見せたいとう口調で、熱心に説明してくれました。

再びバスに戻って今度は昼食へ。ミラノの中央駅を目指して移動したのでした。

・上の写真はドゥオーモ(左)、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア(中央) 、ドゥオーモ内部(右)を撮影したものです。 (著者撮影)

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