Vol.6

<ACT THREE>

- THE EMBARKMENT -

橋の上で若者二人が欄干にもたれて何やら話している。街灯のついた橋には夜明けを待つ静けさが漂っている。

橋のそばには人の居ないスタンドとベンチがある。そこに男がやって来て、スタンドの台を叩いた。すると中から亭主が顔をのぞかせた。お金を渡すと大きなケットルを大袈裟に揺すって亭主はマグにお茶を注ぐ。どうやら顔なじみの様だ。男はマグを片手に亭主と雑談をはじめた。

静かな橋によろよろと歩いてくる人影が・・・それはハリーだった。
相変わらず彼は靴を胸にしっかりと抱きしめている。しかしその様子はかなり疲れており、息も絶え絶えという感じである。一晩中探し回ったのに未だシンデレラに巡り合えていないのだ。

彼は川を見つめ、思い切って橋の上から靴を投げ捨てようとする。しかし決心はつかず彼は靴を持ったまま橋の欄干にもたれるように座り込む。
その様子を見ていた若者は面白半分に彼が投げ捨てようとした靴を取り上げ、それをキャッチボールのように投げて遊び始めた。必死で取り返えそうとするハリー。しかし怪我をし、疲れきっている彼には取り返す元気は残っていない。若者はそんな彼をあざ笑う様に靴を投げて遊んでいる。しかししばらくすると飽きてしまい、不意に彼らは靴を放りだした。

慌てて靴を拾い上げるハリー。彼の疲れはピークに達している。そこに遊んだ帰りのような身なりのいい女性一人が通りかかった。道にうずくまっているハリーに気づき、優しく彼に近寄る女性。どうしたのと優しく問いかけ、とにかくベンチへと彼を促す。
ぐったりしたハリーは彼女の胸にもたれかかるようにしてベンチに腰をかけた。そこに彼女の連れらしき男性二人が現れる。そのうちの一人は彼女にしなだれかかる様にして座っているハリーを見、怒りながらハリーを突き飛ばした。既にぐったりしているハリーにこの男は無情にもこぶしを振り上げる。

厄介事はごめんだとスタンドの亭主はいそいそと店を閉じる。若者たちはケンカに加勢しはじめる。ハリーにはケンカを止めてと男に頼み込んでいる女性しか見方がいない。

既に怪我をしている上に多勢に無勢でボロボロにされてしまったハリー。男達は立ち上がれなくなった彼の様子に満足し、女性を連れて立ち去った。
人のいなくなった橋の上で彼はうずくまっている・・・・・・

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