Vol.7

<ACT THREE>

- A CONVALESCENCE HOME -

・・・・よく病院にある白い"ついたて"が8つ入ってくる
そのうち4つには白い椅子が作り付けられている
   そして大きな赤い十字架が上から降りてくる ・・・・

広い病室にはベッドと椅子の付いたついたて以外何もない。そして、そのベッドの上には両足を抱え込むようにしてうずくまり、顔を伏せているシンデレラが座っている。彼女は助かったのだ。しかし、その様子は悲しげで何とも儚げである。

そんな彼女を医師の白衣をまとってメガネをかけたエンジェルが、椅子に腰掛け心配そうに見守っている。

やげて彼女は片足だけキラキラ光る靴に触れ、ベッドのはしに腰かけて両足をぶらぶらさせて靴を眺め始める。
靴を履いていないもう片方の足は、破れた黒いタイツから足の親指がのぞいている。そして彼女の顔にはいつもの黒縁のメガネがかけられている。いつものグレーのセーターにいつものグレーのスカート。あの華やかな夜を思いださせるものは片足に残った母の形見の靴しかない。
そして彼女はおそるおそる床に降り立ち、思いだしたように一人でダンスをはじめた。しかし靴の揃っていない彼女は上手く踊れない。再び彼女は悲しみにくれる。

・・・・ついたてが横一列に並ぶ。病院の通路に場面が変わる・・・・

足取りも軽くシンデレラの継母、義理の兄弟そして姉妹が登場。彼らの手には一応お見舞いの品が握られている。しかし良く見ると、シンデレラのテディーベアーや彼女が読んでいた雑誌などで特別に買ってきたらしきものは何もない。一応心配そうな顔をしようと務めているが、それが上辺だけのものであるのは誰の目にも明らかである。

ズカズカと彼らはシンデレラの病室を目指して歩いていくが、それを引き留める人物がいた。看護婦である。彼女は無遠慮な彼らをシンデレラの病室に入れまいと立ちはだかる。すると彼らは見舞品を振りかざし騒ぎ立て、中に入れろと看護婦を取り囲む。それでもガンとして動かない看護婦。それを継母は無視して遂に突破。シンデレラの病室に次々に彼らは入っていった。

病室の静けさは完全に壊された。ベッドにいるシンデレラを彼らはあっという間に取り囲み、お見舞いを彼女に押し付けるように差し出す。看護婦は彼女を家族から守ろうと必死に彼女をかばう。

シンデレラは逃れるようにベッドから降り、そして騒ぐ彼らをしっかりと見据え、出口を指さしきっぱりと「出ていきなさい!」と告げた。

今までとは違う彼女の強さに家族は驚き、そして口惜しげに怒った様子で仕方なく病室から出ていった。

再び病室に静けさが戻る。そして彼女はベッドに横たわった。

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