イタリア旅行記  〜ミラノ・スカラ座編〜  

<6/29・午前>

遂にイタリア旅行最後の日を迎えました。

7時半に起床、8時半に朝食に行くと、同じツアーの人たちが既に食卓を囲んでいました。東京・成田組はこの後10時半には出発して、直行でツアコンと一緒に日本に帰るのです。大阪・関空組の出発は午後だったので、私達は朝食後引き続き観光に出かける事にしていました。
東京組に羨ましがられながらわかれを告げ、早速ミラノの街へ。残る時間を有効に使おうという事で、前日に行く所はしっかり決めていました。

日曜日なので飲食店以外、お店は開いていません。まず目指したのはミラノ・スカラ座。昨日のジプシーの群れが怖いと友人が言うので、ドゥオーモを避けて地下鉄の駅はサン・バビラで降りる事にしました。降りてみると日曜日の午前中のせいか、何だか街が静かなんです。空は曇りだし人は何だか少なくて、何とも心細い感じ。でも、行かなきゃという訳で、地図を見ながら歩き始めました。
「本当にあってる?また迷っちゃった?」と不安げに聞いてきた友人に
「いや、多分あってるよ」と言いつつ歩く事数分。イタリアに来て最終日、初めて迷わず目的地に着く事ができました。
近くて分かりやすい地下鉄ドゥオーモ駅で降りれば近かったなぁと思いつつ、スカラ座へ。

オペラは夜にあるのでそれまでの時間、スカラ座は同じ建物にある「スカラ座博物館」とセットで見学出来るようになっています。近くに行ってみると、コピー用紙のような簡単な紙に「トスカ」と書いた紙がドアに貼ってありました。どうやら今夜はトスカのようです。ポスターじゃないところが日常っていう感じ。観光客が既に数人入口に立っていました。

小さな入り口から入って大学にあるような古い飾り気のない階段をあがると、そこにスカラ座博物館の入口があります。入るとそこは売店の部屋で、その中に立っている人に5000リラ(¥400)を渡しチケットを貰います。それが入場券で、それを貰うと後は自由に中を見る事が出来ます。

売店のある部屋は博物館と舞台の境界の役割を果たしていて、入って左がゴージャスなベネチアングラスのシャンデリアに緋色の絨毯が敷かれた回廊、そしてホールがあり、右が博物館になっています。
売店のある部屋の窓から外をのぞくと、丁度レオナルド・ダビンチの像と向かい合う事が出来ました。

まずはホールを見ようと思い、ツアーで来ている人たちの横を通り、ホールに向かいました。すると、先ほどチケットを渡してくれた男性が急いでやって来ます。英語で「写真は駄目だけど、ここから見ていいよ」と言ってホールの2階席、舞台の正面にあたるドアを開けてくれました。

入った途端、私は感動のあまりしばらく声がでませんでした。思ったよりも小さなホール。見事な装飾。一番舞台から離れたこの位置でもはっきりと舞台に立っている人の顔が見えます。
これが、スカラ座。音楽に適した大きさを持ったホール。鳥肌がたち、感動で目頭があつくなってきます。中は暗く、トスカの用意をしているのでホールの中ははっきり見えないのですが、何とも言えない圧倒的な力の様なものが私には感じられました。
ここは伝説的な音楽家が、舞踊家が作品を発表し、喝采をあびた場所。私にとっては聖地の様な感じだったのでしょうか。イタリアで色々なものを見てきましたが、この時、この場所が私にとっては一番感動的なところでした。

少し落ち着いてから更に良く見ると、一階席の半分とはいいませんが、かなりのところまでオケボックスが占めています。ああ、このホールは本当に小さいのだと再認識しました。
舞台の上はトスカの一幕目なのでしょう。現代アートの様な絵のボードがいくつか立て掛けられています。少し興奮しながら次の見学者が来たので外へ出ました。

そこにあるのはシャンデリアの豪華な回廊。ロープがはられているので側には行けませんでしたが、とても美しいものでした。

再び売店を通って漸く博物館へ。ここには歌手や作曲家の肖像画がところ狭しと掛けられています。かなり古いものもありましたが、私に分かるディーバではマリアカラスが印象的でした。結構新しいせいかちょっと安っぽい色をしていましたが、どこから見てもカラスでした。

展示されているものは貴重なものばかりで、驚いたのはヴェルディー直筆の「レクイエム」辞典のような厚さです。彼の結構大きな手の石膏と胸像もあります。他には彼の使っていたピアノも展示されていました。中には舞台装置をペーパークラフトで作った美しい模型や、衣装も展示してありました。
道化師の衣装などが展示されていましたが、一番豪華だったのは「トゥーランドット」のお姫さまの衣装。展示室は2フロアー使っているのですが、その衣装は階段の下の少し低くなった場所に展示されていて、ひときは目をひくものでした。
階段をあがるとストラビン・スキーのかなりデフォルメされたコミカルな肖像画があります。色は全体に茶系で統一されていてシックなのですが、画面いっぱいに特徴をよくとらえたストラビンスキーの顔が描かれています。見ているだけで笑ってしまうほどよく描けています。目とメガネが印象的で、私はスカラ座の絵の中でこれが一番気に入りました。

舞台で使った装飾品もガラスケースに陳列されていましたが、どれもカラフルで良く栄えるだろうなと思われるものばかり。中には何故ここにこんなものが?と思ったバリ島のバロンのお面や文楽の人形などもありましたが、とにかく貴重なものがたくさんありました。これでここでオペラを見て帰れたら最高なのにと思いながら見終って売店へ。

戻ってみると、アメリカ人の団体がイタリア人ガイド(英語)の説明を聞いてたむろしていました。
ミュシャのトスカのポスターだ!と驚きつつ ポストカードをみながらそのガイドの説明を私も聞いていました。どうやらカラスの説明をしているようで、
「この肖像画はマリア・カラスですね。彼女はオナシスの恋人だったのですが、皆さんもご存知なように、オナシスは結局ケネディーと結婚していまい」
というところで一瞬の間が・・・・その後私も含めて皆が笑い始めました。
「すみません、違うわね。間違えちゃいました。ジャッキーです。ケネディーなら大変だわ」
結局スカラ座の色々な場面を撮ったカードを購入して、今度は絶対オペラをここで観ようと心に固く誓い、スカラ座を後にしました。

外に出るとやっぱり雨が降りはじめています。次に目指したのは ポルディ・ペッツォーリ美術館。しかしここはガイドブックのインフォメーションとは違って休館でした。仕方なく、行きたかったもう一つの美術館、ブレラに移動しはじめました。

・上の写真はミラノ・スカラ座を撮影したものです。(著者撮影)

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