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安 藤

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   ☆ E4  日本の領土問題とアメリカ ☆  ☆ E15 日系人フジモリ大統領への敵意 ☆   F107 日本の領土問題(竹島、尖閣、千島)とアメリカの関与

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誰も読まない新聞がなぜ売れているのか
 
 
「教科書問題」「従軍慰安婦」の問題も経緯を振り返って考えると、ほとんどが日本の新聞の問題であることが分かります。日本の政治の諸悪の根元は、国民に必要な情報が提供されないことと、国民の多数意見が政治に反映しないことであり、その原因は新聞にあると思います。

 「SAPIO」5月27日号に掲載された、新聞協会がひた隠しにしているという「若者アンケート」の記事を読むと、新聞を定期購読しているのはほとんどテレビ番組欄を見るためで、あとはろくに読まれていないことが分かります。以前から朝日新聞の真ん中あたりのページの「進歩的」で、「格調高い」記事をいったい何人の人が読んでいるのか疑問に思っていました。私は1%以下だと思います。自由競争の市場ではこのような無駄は本来絶対起こらないはずです。誰も読まない新聞がなぜ売れているのでしょうか。それは新聞業界が自由競争のない業界で新聞の種類が少なく、消費者の要求を満たしていないものでも淘汰されないからです。(新聞の種類が少ないのは
昭和17年内務省が検閲を容易にするために、それまで1,422紙あったものをわずか55紙に統合したのが原因であることを、櫻井よしこさんの書いた週刊新潮の記事で知りました。これは戦後の占領軍の検閲をも容易にしたと思います。)

 たとえばエアコンを買ったけれど誰も温度調節の機能は使わず、単に送風機としてのみ使っていると言うようなことが考えられるでしょうか。温度調節の機能が必要なければ、その機能を省略した安い送風機が発売されるか、あるいは別の機能が付加された機種が発売されるかして、「誰も使わないタイプ」のエアコンは市場から姿を消すはずです。もし相変わらず誰も使わない温度調節機能の付いたエアコンが売られているとすれば、それは、かつての社会主義国ソ連の国営企業のように、企業の間に自由競争がなく、消費者の要求とは無関係に消費財が作られ、消費者に選択の自由がない状態であることを意味しています。

 日本の大新聞が800万、900万部の大部数を維持しているのは決して読者の支持を得ての結果ではないと思います。つい最近、朝日新聞社の女性月刊誌「uno!」が創刊わずか2年で廃刊になり、育児情報月刊誌「幼稚園ママ」も同時に廃刊になる事が報じられました。かつて「月刊ASAHI」は創刊後わずか2〜3年で廃刊になり、「ASAHIジャーナル」もほぼ同時期に廃刊になったことは記憶に新しいところです。「AERA」もあまり売れていないようです。
要するに朝日新聞社の作る雑誌は売れないのです。日刊紙にしたってほとんどの人が中の記事を読んでいないと言うことは、自由競争の市場であればとっくに廃刊か大幅な部数減に追い込まれているはずなのです。

 その新聞が大部数を維持し続け、廃刊に追い込まれないのはなぜでしょう。それは新聞業界に自由競争がないからです。日本の新聞は世界でもまれな専売店による宅配制度の下で大半が売られていますが、そこに問題があるのです。
 専売店制度は、以前日米自動車交渉の時にも問題となったいわゆる系列販売の典型で、
排他的な流通制度です。
 また、宅配制度の下での無期限購読は、店頭で商品を選ぶのと違い、消費者が商品を比較検討、選択する機会がありません。この世に新聞自身の商品内容、
他紙との違いを訴える広告というものは全くありません(産経新聞は『新聞はみな同じではありません』と訴えていますが、裏を返せば消費者は新聞はみな似たようなものという認識を持っていて、新聞を内容で選択していないということを新聞社自身が知っていると言うことです)。新聞のセールスマン(拡張員)は来ますが、しつこさと、強引さを競うだけで、商品の説明は全くなく、消費者には大変迷惑な存在です。月に一度の休刊日は各社一斉で、たまに他の新聞を読むこともままなりません。一般に店頭販売をせず、訪問販売のみと言う商品は多かれ少なかれ消費者に不利益となります。比較検討したり選択する余地がないか、あっても非常に限られているからです。そして、一度定期的な購入を始めると、購入見直しのキッカケがありません。何せ、その商品しか知らないのですから。

 そしてこの宅配制度(一種の訪問販売)は新聞社が読者に強いているとも言えるのです。というのは、新聞社が新聞の値上げの都度、値上げの理由として宅配制度の維持を挙げていることからも分かるように、宅配はコストがかかるものです。コストの差を正しく価格に反映させれば、スタンド売り(店頭販売)の新聞はもっと安くできるはずです。ところが日本の新聞価格は配達料込みの宅配の方が安くなっています。消費者に安いスタンド売りがいいか、便利ではあるが値段の高い宅配がいいかの選択の余地がありません。消費者に選択の自由があれば新聞の流通も変わると思います。そして店頭売りが増えれば、読者の選択の機会も増え、誰も読まない新聞が大量に発行されると言う事はなくなると思います。(資源の浪費がなくなるという意味でも好ましいことです。)

 元朝日新聞の記者で、週刊朝日の副編集長だった稲垣武氏は、井沢元彦氏との対談の中で「日本の新聞社が倒産しないのは宅配制度に支えられているからです.もし宅配制度が壊滅して、みんな駅のキヨスクで新聞を買うようになったら、言論の優劣による競争結果がはっきり現れる。それがないから、品質の悪い記事をのうのうと書いている」と宅配制度の問題点を指摘しています。(井沢元彦著「虚報の構造 オオカミ少年の系譜 朝日ジャーナリズムに異議あり」)

 新聞業界はアンケート結果の「戸別配達がなくなれば新聞を購読しないと言う人が7割もいる」というところだけをつまみ食いして、宅配必要→再販制度必要と、アンケート結果を悪用するおそれがあります。また、彼らの言う販売正常化とは、景品を制限したり、値引き販売を禁じるなど競争をさらに制限し、寡占、無競争状態を助長する内容で消費者の利益に全く反するものばかりです。
日本の民主政治の実現のためにも新聞の正常化は緊急の課題です。

平成10年6月6日       ご意見・ご感想をお寄せ下さい  こちらへ     
     

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